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「チャンバラ狂時代」のブログ。時代劇のこと、その他映画・テレビドラマやら俳優のことなど。
徒然なるままに、時々思いだしたように更新しています。

時代劇ライフ2018年2月

 今月はちっともホームページ(チャンバラ狂時代)が更新でけんかったのう……。

 更新したかと思ったら唐突に2時間ドラマのデータだったりして、また新ページ乱立して放置のパターンが続くんではないかなどと我ながら不安になってくる。

 →京都殺人案内 -チャンバラ狂時代

 しかしながら、狭い世界である映画・テレビ制作業界、スタッフ陣の仕事を辿っていると、時代劇関係の人たちも当然、現代劇の現場でも活躍しているのである。スタッフクレジットを眺めるのが最大の楽しみみたいなアチシにとって、「あっ、このキャメラマンがこんなところでも!」なんて発見をしたりするのは、無上の喜びなのだ。

 てなワケで時代劇スタッフ人別帳ともまんざら無関係でもないサイドワーク、これからもちょいちょい手を入れていく所存。

 

 とか何とか言いつつ最近はもっぱら東映チャンネルにて非情のライセンスチェックで忙しいアチシ。毎回えせハードボイルド街道を突き進んでいく兇悪の会田刑事@天知茂センセイから目が離せずこちらの眉間にもシワが寄ってくるような日々を送っている。先日放送の#6「兇悪の目」はゲストに小池朝雄を迎え、ベトナム戦争をテーマに重厚すぎる物語を叩きつけられ、しばし放心状態になった。お、恐るべし70年代刑事ドラマ……。

 絶対に欠かさず録画・保存するから、第3シリーズまで余さず放送してくれよォ。

 と思っていたら、ナーンジャコリャ。


 


 

  4月(VOL.1)・5月(VOL.2)にDVD-BOX発売ですってよ。

 なんか最近、このパターン多いんでないかい。お宝作品が東映チャンネルで放送されるとほぼ同時に、ベストフィールドからソフトが出るっての。江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎とか劇場版『風小僧』とか『ザ・ボディガード』『ターゲットメン』『ゴールドアイ』など、軒並みこのパターンである。一体どういうご事情がおありなのか知ら。

 東映チャンネル以外でも、ホームドラマチャンネルでやった『コードナンバー108 7人のリブ』日本映画専門チャンネル『森繁対談』もご同様だったんじゃないか。ベストフィールド、何者ぞや?

 

 それはさておき、時代劇のほうで最近よく観ているのは日テレ里見浩太朗アワーとも言えた火曜20時台の一連作品、その最終作である『闇を斬る 大江戸犯科帳』だッ!

 多くの時代劇ファンを敵に廻すこと覚悟でアチシは里見浩太朗嫌いを広言して憚らない。なんとも偽善的な雰囲気で説教垂れて、いつも配下を顎で使って自分は動かない里見ヒーロー、ほんっと好きじゃない。コキ使われる配下ってのは長七郎江戸日記が長かったせいか火野正平というイメージが強いが、単発スペシャルの寛永風雲録』でも里見知恵伊豆はやっぱり密偵火野正平を顎で使っていたっけ。

 で、この『闇を斬る』でもやっっぱり里見ヒーローは密偵火野正平を顎で使っているいつも通りの……と思いきや、なかなかどうして、長七郎だの右近だのと葵の権威を嵩に着たいやったらしいそれまでの主人公像とは違って、里見浩太朗らしからぬ横紙破り。自称“闇奉行”の一色由良之助は、乗り込んだ悪人邸で「闇奉行の俺に証拠なんざいらねえんだ!」とステキな名台詞をのたまい、ツベコベぬかそうとする悪玉を斬り捨てる。いやはや里見時代劇の中じゃいちばん見ていられる作品ではないかコレ。なにしろ証拠があるときでも破り捨てて前述の決め台詞に持っていくくらいの横暴ぶりである。アチシはどこかここにかつて萬屋錦之介がやっていた破れシリーズの匂いを感じて、楽しんでいる。

 もっとも里見浩太朗はその後水戸黄門でご老公に出世、またしても葵の権威を嵩に着た実にいやったらしいヒーローを嬉々として演じることになるのだけど。

 

 話があちこち飛ぶが、アチシの敬愛する脚本家で里見アワー作品でも健筆を振るっていた和久田正明氏の新作時代小説がまた出ているのでちらっと紹介しておく。小学館文庫より『提灯奉行』

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  将軍・家斉の御台所である寔子が襲撃され、その危機を救った提灯奉行・白野弁蔵。目付から影扶持を与えられ密命を受けている武骨な初老御家人のかれは、こともあろうに将軍家正室に慕情を抱き、そしてまた助けられた寔子のほうでも白野に異性として惹かれる。

 和久田脚本では『また又 三匹が斬る!に「男売ります、悲しき提灯奉行」なんてのがあったなァ、と思い出されるが、あちらの赤塚真人と違って本作の主人公・白野弁蔵は腕の立つ硬骨漢。名は『シラノ・ド・ベルジュラック』(をもじった白野弁十郎って翻案モノもあったっけ)をモチーフにしているのであろうか、しかしシラノとロクサーヌの場合と違い白野・寔子は相思相愛、けれども絶対に叶わぬ恋なのは言うまでもない。

 ありえないシチュエーションながら人妻(それも時の将軍の!)と小禄の役人が想い合う展開を軸に、影の集団による陰謀を粉砕する物語は、ちょいとトキメキながらページを繰らせる引力がありますぞえ。

 脚本家時代から、和久田氏はキャラの魅力を光らせるのが巧い人である、ってェのがアチシの持論だ。

時代劇ライフ2018年1月

 寒い。とにかく寒い。灯油を買う銭も尽きた。ガタガタ震え、かじかんだ手でペンを取って資料整理に明け暮れる生活もとっくにマイナス会計に突入している。

 働かなくっちゃ喰えないのだが、なにしろ働くのが嫌で仕方ない素浪人である。時代劇の世界なら辻斬りか強請りたかりに身を染めているクチかもしれない。

 ここで宣言しておいたテレビ版柳生武芸帳ページ作り、なんとか1月中に実行。現存の初回映像は確認できていないが、この番組に関してこれ以上詳しく情報を得ようと思ったら、当時の台本でも発掘されるのを待つしかないのであろうか……。
 
 出演者の顔ぶれから察すると、北竜二の役は松平伊豆守あたりだろうか。いや土井大炊頭も考えられるが……出演回数からみて主人公サイドの知恵伊豆っぽいんじゃあないか、してみると土井大炊は北村英三だろうか、などと憶測に過ぎない想像を巡らせるしかない。

 BS・CS方面の収穫は、ほぼ穴埋め録画に終始していた。BSトゥエルビ伝七捕物帳テレ朝版) にBS-TBS水戸黄門(14)』時代劇専門チャンネル大岡越前(4)』『吉宗評判記 暴れん坊将軍など。新規収穫はこれも時専で『はぐれ医者 お命預かります!』『父子鷹』など。アチシにとって比較的馴染みの薄かった90年代作品が続々手に入ってきているのは嬉しいところである。

 しかしまだまだマイナーな作品はある。アチシがアンテナ取っ付けて衛星加入したのはここ5年ほどのことであるが、その間に時専でも放送されていないもので是非お目にかかりたいのは……三田村邦彦主演『殿さま風来坊隠れ旅』『将軍の隠密! 影十八』やら、テレ東系の小野寺昭主演『おらんだ左近秘剣帳』であるとか、NHK『大江戸風雲伝』といったところ。またこれは2000年代に入っての作品だが片平なぎさ主演のテレ朝制作必殺亜流『天罰屋くれない 闇の始末帖』なんかも押さえておきたいのだが、イマイチすぎて需要がないんであろうか……。

  気ばかり多いのがアチシのよくないところで、ホームページ内も新規ページ作って放ったらかしが非常に多い。個々の内容を充実させていくのも寛容と、このところ三匹が斬る!をせっせと観たり、またいよいよ時専で松方弘樹版に入った金さんをチェックしたりと努力はしている(はず……)である。

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 時代劇に身命捧げているのであれば、酒喰らってイタリア発の超絶諷刺SF社会派?映画『宇宙人王さんとの遭遇』とか綺麗なねーちゃんが美脚チラつかせて暴れるベトナムアクション『レディ・アサシン 美人計』とか韓国産モンスターパニック『人喰猪 公民館襲撃す!』とか観ているヒマはないはずなのだが、そこはまぁ好きモノの性(さが)というヤツ。山本リンダじゃないが、どうにも止まらないのである。

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  誰に求められるでもない収益のない仕事こそ最も意欲を発揮すべきであると信じてやまない素浪人は、この2月も忙しくなりそうじゃわいと大いに意気込んでいる。

 何しろ東映チャンネル非情のライセンスが始まる。そしてこれまたずっと観たいリスト上位にあった高橋英樹『編笠十兵衛』もスタート。

 時代劇専門チャンネルの要チェックは、藤沢周平特集の一環で放送される『傑作時代劇』中の4作「へそ曲がり新三」「おんなの密書」「しぶとい連中」「夢ぞ見し」だっ! なぜかこれまで全然ラインナップに入らなかった菅原文太主演2作のうち、わけても「しぶとい連中」は笠原和夫脚本作品である。待ってましたの一言に尽きる。これで同番組はホームドラマチャンネルでゲットした怪談系も含めると、森繁久彌主演「半七捕物帳」以外は全て手中に収まったんではなかろうか。

 地上波も里見黄門(CBC)に北大路平次(テレビ愛知)が続々補完されており、まず以て我が時代劇ライフは順風満帆。 

  ただ問題はそれを下支えする家計がぐらぐらという一点。ってダメダメやんけ。

雪の日のホームページ更新

 ベランダの手すりに23ミリも雪が積もった。寒くって仕様がない。

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 今日も今日とて心を虚しうする賃労働を終え、帰り図書館に寄って時代劇絡みの調べ物をしてきたのだが、一歩踏み出ると雪景色になっていて大いにぶったまげてしまった。

 アスファルト上、人に踏まれる頻度の高いあたりは半溶けのシャーベット状になり、とても自転車で帰れたもんじゃねえってんで泣く泣く停め置きして地下鉄帰宅。わずかな電車賃の出費にも歯噛みして口惜しがる素浪人でござんす。

 

 何であろう、非生産的な一日を送るのが無性に恐い。強迫観念のようなものに囚われて、データ採りであるとかHP更新であるとかいった何かをしないで一日を終えたくないのだ。

 本日も、ちまちまっとHPいじり。

 相変わらず情報が遅い人間で恐縮なのだが、大映→映像京都で活躍した録音技師の大谷巌氏、昨年亡くなっていたのをキネ旬の訃報記事で読んでおり「人別帳」に反映しなければと思っていたのだが、ようやく果たせた。

時代劇スタッフ人別帳「お」 -チャンバラ狂時代

 享年が97とか98とか情報が錯綜していたが、佐藤忠男・編『日本の映画人』に生年月日は記されているのでそれを参照。8月4日生まれ、誕生日の直前たる8月3日に亡くなられたようである。

 

 普段、何の気なしにただ映画を観ていると忘れがちになるのだが、各セクションに熟練のスタッフがいてベストを尽くして作品に取り組み、その結晶として生まれたものが今なお残って鑑賞できるようになっている。

 しかし専門的な知識を持ち合わせておらぬ故に、その職人技の細かいあれこれが判らないアチシはひたすら不勉強を恥じるしかない。

 無為に過ぎていく夜に雪が降り積もってゆく……。

 

とても精力的な新年の辞

 ああ気がついたら2018年になっている。遅いって? その通りです。

 新年の抱負だの目標だの、意気込む気配がさらさらないボウフラ人間のこととて、今年もまァそこそこにやっていくことでありましょう。

 ボウフラも喰い繋ぐのに必死で、あまりご大層な目標なんぞ掲げたら潰れてしまう……現に昨(2017)年の頭、気張ってここに書き散らしたこと、全く果たせていない体たらくである。

chanbara310.hatenadiary.jp せめて結束信二あたりの資料はまとめて時代劇スタッフ人別帳に上げたいのだが。

 

 その前にひとつ片付けておきたいのは、今や視聴困難な作品ながら当時の新聞ラテ欄を洗い、ある程度のデータをまとめた近衛十四郎のテレビ版柳生武芸帳のページ作りである。

 近衛センセイのファンサイト魅せる剣戟スター 近衛十四郎管理人・じゅうよっつさんに、初回データの拝借だけお願いしておいて、その後メモを紛失、大いに落ち込んで気力喪失していた仕事なのだ。ようやく気を取り直し一から調べ直し、目下のところパソコンに打ち込み始めているところ。これは間違いなく近々アップすると断言できる。

 この番組、第1話は現存しており過去に東映チャンネルで放送されたようなのだが、残念ながらアチシはそ頃CS加入を済ませておらず未見。松方弘樹一周忌特集に併せてパパの近衛センセイも大々的に取り上げて、一緒にやってくれればいいのに、と恨めしく思うぞ東映チャンネル。いやしかし2月から非情のライセンス放送開始してくれるから感謝のほうが上回ってるけど。なんか大脱線したナ。

 あとは……まァ、普段通り。当ブログの連載(なのか?)たる任侠映画・セガール映画レビューも不定期に気が向いたら載せていくことでござんしょう。

 

 なにぶんにも、ビール片手に時代劇やB級映画を観てさえいれば幸せな人間、時たま愛する本の雑誌三角窓口に投稿なんぞしたり、どっかにお金でも落ちておらぬかなァなどと徘徊したりしている素浪人は、いつ食い詰めてクタバるか知れぬ日々のなか多少なり何ごとかし続けていないと本当に腐ってしまう、との危機感を抱きながら明日もぐだぐだと時を過ごしていくのである。

任侠映画総覧計画『昭和残俠伝 吼えろ唐獅子』

 

  東映が誇る看板シリーズ『昭和残俠伝』全9作のうち、8作目にあたる。

 最高傑作と称される第7作『死んで貰います』を頂点にやはり翳りは隠せないラスト二作(『吼えろ唐獅子』『破れ傘』)は、任侠映画ファンにとって些か複雑な思いを抱かせる作品に仕上がっている。何となれば、テコ入れのつもりなのかスペシャルゲスト的に鶴田浩二が投入されているのだ。

 高倉健池部良の二枚看板をもって様式美が形作られてきたシリーズに、もう一人の雄・鶴田のおっさんが放り込まれるとは! そして実際そのことによって残俠伝ワールドのパワーバランスは崩されてしまったように見受けられるのである。

 

『昭和残俠伝 吼えろ唐獅子』(1971年10月/東映東京)
脚本:村尾昭
監督:佐伯清
出演:高倉健池部良松方弘樹松原智恵子、葉山良二、光川環世、諸角啓二郎、沼田曜一高野真二玉川良一、中田博久、清水元、沢彰謙、河合絃司、田口計、植田灯孝、鶴田浩二

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 今回の花田秀次郎(高倉健)は、一匹狼の旅人。草鞋を脱いだ黒田組の若い衆・文三(松方弘樹)に力を貸し喧嘩の助っ人をする導入から、親分(葉山良二)に寝取られた恋人・おみの(光川環世)と駆け落ちした文三を追う道中、旅先での風間重吉=文三の異母兄(池部良)や人格者親分・三州政治(鶴田浩二)との邂逅などを通じ、これでもかと「筋の通った」渡世人像を示す。

 一宿一飯の掟で、ろくでなしの親分に仁義を尽くさなければならない秀次郎。しかしその理不尽が度を超え、我慢は限界に達する。

 

 準主演とも言える格で、悲劇の役どころを与えられるのは大映から出戻った松方弘樹。好演だが如何せん汚れ役で本領を発揮する以前の半端な立ち位置ゆえ、良くも悪くも作品に影響を与えるまでに至らない。

 影響が大なのは、松方演じる文三とおみのを預かる三州親分=鶴田浩二の存在である。女房に納まっている松原智恵子健さん=秀次郎の元恋人なんてロマンスはさて置き、ずっと健さん/池部良の同性愛的カップリング映画として成立してきた『昭和残俠伝』シリーズの中にもう一丁メインディッシュを放り込もうという欲張った考えは、失敗としか言いようがない。

 一宿一飯の義理を種に三州親分殺しを命じられる秀次郎。一対一の勝負は途中で黒田組の刺客が介入しお預け。これが元で完全に秀次郎は愛想尽かしをして黒田組の敵に廻る。

 そして病のおみのを看取った文三は黒田組の手にかかって惨殺、兄たる重吉が立ち上がる。これに秀次郎が同行し、お馴染み唐獅子牡丹の唄をバックに道行きと相成る。

 当然ながら、三州親分も殴り込みの最中に合流して力を貸す。斃れた重吉をそのままに、傷ついた秀次郎が三州親分の肩を借り去っていくラストシーンは、実に複雑な感興を催させるものだ。何と形容すればいいのだろう、三角関係じみたモヤモヤ感か。ファンがずっと贔屓にしてきた健さん/池部良の間に鶴田浩二が割り込んで水を差してしまったようではないか。

 

 1971年頃ともなると、やはり任侠路線も下り坂。それはドル箱シリーズとて避けられない時節の流れというものかもしれない。離れていく客を呼び戻すためには豪華ゲストを投入して派手々々しくする方向へと傾く。が、やっぱりそれは却って美味しいところを削ぐ結果にしかならない。

 次作『破れ傘』になると、さらに北島三郎安藤昇までが加わり、いよいよ散漫な出来上がりになってしまっていた。そう考えるとこの『吼えろ唐獅子』はまだ良いほうだったのかもしれない。形骸化してきてしまった主演格三人よりもむしろ松方弘樹の成長過程を示す作品と言えようか。

沈黙の映画評『アウト・フォー・ジャスティス』暴力刑事の極致

 久々になってしまったがセガール映画評シリーズ、今回は初期作品のコレだッ!

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 この映画ではセガール『刑事ニコ/法の死角』同様イタリア系の刑事ジーノを演じる。幼馴染で相棒刑事のボビー(ジョー・スパターロ)がヤク中のやくざ者リッチー(ウイリアムフォーサイス)に白昼射殺され、復讐に燃えるというそれだけの筋書き

 しかしリッチーもまたジーノやボビーと同じ街で共に育った幼馴染であり、ジーノは彼の両親に随分と世話になっている……とくれば何やら葛藤がありそうなところだが、そこは復讐とか大義名分をカサに暴力振るいたいばっかりセガール、お構いなしである。単独でメチャクチャやるのを警察内でも黙認されているのか一切の障害なしで突っ走るジーノ刑事、リッチーをいぶり出すとかいう小細工のつもりもなさそうな暴れっぷりで、リッチーの弟ヴィニー(アンソニー・デサンド)の店を壊し、クラブを経営している妹パティ(あばずれっぷりが中々ステキなジーナ・ガーション)もブタ箱へ放り込む。そして恩人たる親父さんまで不法逮捕!

 対するリッチーもヤクの吸い過ぎでイカレて凶暴化しており、罪もない人間(無名時代のジョン・レグイザモも被害者だ)を撃ちまくるような極悪。組織からも面汚しとばかり破門状が出ているゲス野郎で、どっちもどっちの復讐劇はその果てで殺られたボビーも大概のクズだったことが判明してしまう。でもそんなの関係ねえ! 暴力が振るえればそれでいいセガールフォーサイスをボッコボコにして息の根止めてジ・エンドなのである。

 

 何故か奥さん(ジョー・チャンパ)と離婚調停中のジーノ刑事、車から放り出された仔犬を救ったりと優しい面も見せつつ、基本は血の気の多い暴漢。全く感情移入できないヤな奴でしかない気がするのだが、ジョン・フリン監督はテンポ良く映画を進行させ観る側にあまりそこらへんを感じさせず捌いていく。流石チャールズ・ブロンソンのワンマン映画でならしたJ・リー・トンプソンのもとで学んだだけあるなァ。

 初期はマトモだったと思いきや所詮セガールセガール、ろくでもない映画ばっかりだなァと幻滅するのはお待ちなせえ。やっぱり初期はアクションがしっかりしている。スタントやカット割で誤魔化さずきっちり合気道技をキメるし、車もちゃんと自分で運転しているのが現在の目から見ると感涙モノだ。

 銃には銃、素手には素手、武器を持ってかかってくる奴にはその武器を奪い取ってきっちりお返しキメるというアクションのストーリー性も、序盤の肉屋乱闘からラストの対フォーサイス戦まで一貫しているのも痛快。

 なんだかんだで、合気道を駆使した“正統セガール・アクション”を観たいと思ったら、選ぶべきはこのあたりの初期作品に限られてしまうのだよなァー。

 

 それからもう一つ見どころは、数々の作品で「タフガイ」をやたら目の敵にしているセガールおじさんがそのタフガイいじめをしている第一号(?)がこの『アウト・フォー・ジャスティス』にある点だ。

 車から仔犬(可愛いコラッジョ君=ジーノ命名)を投げ捨てたワゴン車のおっさん、「再会できますように」と祈ったジーノ刑事の願いは叶ってラスト、よりを戻した奥さんとデート中にばったり再会。当然ぶちのめしたのち、コラッジョ君による報復のオマケつき。このおっさんのクレジットはその名も“Station Wagon Tough Guy”であった。

 

 

『アウト・フォー・ジャスティス』1991年4月(本国封切)/アメリカ
原題“OUT FOR JUSTICE”…直訳すると『正義を求めて』になるのだろうか? 内容からすると『正義のために(道を)外れろ』としてもいいような気がするが。
という訳で勝手に邦題『俺が正義だ』

エグゼクティブ・プロデューサー…ジュリアス・ナッソ
プロデューサー…スティーヴン・セガール、アーノルド・コペルソン
アソシエイト・プロデューサー…ジャクリーン・ジョー
コ・プロデューサー…ピーター・マグレガー・スコット
脚本…デイヴィッド・リー・ヘンリー
監督…ジョン・フリン

出演…スティーヴン・セガール(ジーノ・フェリーノ)、ウイリアムフォーサイス(意外にやられアクション頑張っているリッチー・マダーノ)、ジョー・チャンパ(離婚調停中ヴィッキー・フェリーノ)、シャーリーン・ミッチェル(ボビーの奥さん・ローリー)、ジーナ・ガーション(10ドルの売春婦ことパティ・マダーノ)、ジェリー・オーバック(ジーノを野放しにしているロニー警部)、ジェイ・アコヴォーン(リッチーの手下)、ロン・マッコーン(マフィアのドン・ヴィットリオ)、サル・リチャーズ(代貸格のフランキー)、ジョー・スパターロ(浮気者ボビー・ルポ)、ジュリアナ・マルグリーズ(リカ)、ソニー・ハースト(歯を折られるタトゥー野郎)、ジュリアス・ナッソJr(なんとジーノの息子トニーを演じているのはセガールと二人三脚だったプロデューサーの子息ではないか!)、ソニー・ジトー(Station Wagon Tough Guy)

任侠映画総覧計画・幕間

 任侠映画という呼称、思えばひどく漠然としている。大きなくくりで捉えてしまうと、「任侠精神を持った主人公の登場する映画」ということになるだろうか。

 間違っちゃいけないのは任侠=やくざではない点。実際、東映任侠路線華やかなりし頃の代表的シリーズ『日本侠客伝』の主人公たちは、やくざではない場合もあった。鳶職なり人足なり、男を売りとする稼業の“侠客”たちであった。

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 とはいえ圧倒的にやくざモノが多いこのジャンル、昨今レンタル屋で「任侠」とカテゴライズされた棚を見れば、小沢仁志のVシネなどがわらわらと並び、すっかり「任侠=やくざ」の図式は定着している気がする。

 では任侠映画とは単にやくざ映画の別名なのか? そう決めてしまうのには待ったをかけたくなる。この言葉からイメージされるのは、Vシネや実録モノ、それに近年のアウトレイジなどを除く往年の鶴田浩二高倉健らが看板を張っていた東映映画群である。

 

 ひとまず東映以外──同時発生的に作られていた関東無宿』『東海遊侠伝』『男の紋章』といった日活作品や、完全に後追いの格好で始まった『若親分』『女賭博師』シリーズなどの大映作品なんかは、ここではさて置くとしよう。やっぱりこのジャンルの牽引者は三角マークの東映だ。

 

 東映任侠路線の幕開けは、1963年の『人生劇場 飛車角』とする説と64年博徒とする説、ふた通りある。どちらかといえばメロドラマ調の前者を「あんなものは任侠映画やない」と一蹴する小沢茂弘監督の“手柄顔”じみた主張のせいかもしれないが、やはり『飛車角』は東映がこの路線に乗り出すきっかけを作った先鞭的な役割を担ったとみていいだろう。原作を離れ『続』『新』まで作られた『飛車角』は、三本とも『博徒』以前に封切られているが、笠原和夫の筆によるこれらの脚本には紛れもなく後年の任侠路線作品群に通じる遺伝子が流れていた。

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『飛車角』以前には石井輝男井上梅次監督によるギャング路線を放っていた東京撮影所は、任侠路線が波に乗ったのち主として背広やくざを主人公とする現代ものを、そして京都撮影所では、それまでの主流だった時代劇からの連続ともいうべき着流しやくざの近代ものを続々と製作、東西ともに数多のシリーズを抱え任侠路線全盛期を作った。

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 そんな流れを変えたのは、今更くどくど述べる必要もなかろう73年仁義なき戦いに始まる実録路線の登場。きれいごとを取り去った生々しい迫力の現代やくざ像を叩きつける“実録ショック”は、いい加減マンネリに陥ってきていた任侠路線をより色褪せたものにしてしまった。それでも、従来の任侠映画は即座に滅びた訳ではない。実録路線と併走する格好で、しかし既によりどころを失くした心細さを抱えるように失速を続け、やがて実録路線の終焉とともにひっそり幕を閉じていった。

 

 おおまかに区分をすると1963〜1976年頃が、以上の出来事に相当する、任侠映画の位置する年代である。

 難しいのはこの時期の東映映画、任侠路線か否かの線引きがしづらいものが多いのである。大体において東映映画、みんなやくざっぽい。一般には任侠映画扱いされる網走番外地にしたって、正確に言うなら活劇アクション映画のくくりに入れるべきだろう(『新網走番外地シリーズは石井輝男監督の手を離れ、通常の任侠路線に落ち着いたと言える)が、何しろ主人公はやくざである。逆に一連の梅宮辰夫主演スケコマシ映画なんかは任侠映画とは見なされないものの実にやくざっぽいし、女番長モノだってやくざっぽさ満点である。

 乱暴にまとめてしまうと東映=やくざ。従って全ての東映映画は任侠映画である! なんてことになりかねない。

 反対に、極めて狭義の捉え方をするなら、任侠路線=俊藤浩滋という見方もできる。この路線の立役者であるプロデューサー俊藤浩滋の製作したものこそが任侠映画だ、と原理主義的くくりをしてしまったら楽チンかもしれない。が、そうなると明らかに任侠路線の一環でありながら非・俊藤プロデュース作品ということで省かれてしまう作品も出てこよう。

 

 そもそも映画をジャンルでくくるのは間違いであるかもしれない。逃げを打ってこんな結論に落ち着いちまってはミもフタもないが、心の底ではこれがアチシの本音である。しかしそれでは収まりがつかない。頭をひねって何とかここでの「任侠映画定義」を打ち立ててみよう。

  • まず『人生劇場 飛車角』をもってスタートとする。
  • 俊藤/非・俊藤プロデュースを問わず、当てはまりそうなものは任侠映画と見なす。
  • 背広の現代やくざが跋扈する暴力団モノも含む。
  • そして世間的に「実録」路線と言われている作品は、「任侠」路線とは区別して扱う。
  • 不良番長』『ずべ公番長』『女番長』シリーズなどは……含めちまってもいいんじゃないか。

 割と幅広く視界を取っておくことにしよう。だからもちろん『網走番外地』だって任侠映画のくくりに入れちまおう。

 あまり難しく考えないで「任侠映画」という作品群を捉えてみると、63年〜76年頃の“それっぽい”映画すべてがこの中に入ることになる。わが「総覧計画」はこれらを対象に進んでいくのである。これにて定義終わり。

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 ところで。

 すっぱりと76年『北陸代理戦争』をもって区切りとされる実録路線に対し、任侠路線は立ち消えのような格好で、終わりどころが明確ではない。一体どの作品をして東映任侠映画の終焉と見なすべきであろう。ずるずる年代も下って俊藤浩滋がプロデュースした84年修羅の群れ85年最後の博徒あたりか。しかしあれは、夢よもう一度とでもいうように一瞬のみ復活した“燃え残り”ではなかったか。

 では77年〜78年『日本の首領』シリーズは。あれも任侠路線とも実録路線ともつかぬニューウェイブの珍作で、むしろ後年の極道の妻たちシリーズに近いドラマチックなファミリー映画(注意、ファミリー向け映画の意ではない!)だった。

 そう思うと、任侠映画を看取った最後の作品というのは、もしかするとアンチテーゼを多分に含んだ倉本聰脚本を土台に三角マークの京撮へ健さんがカムバックした『冬の華』あたりかもしれない。

 はたまた、ハチャメチャにやくざ者たちがそのやくざ者であることを笑いの武器に昇華させられた岡本喜八の快作ダイナマイトどんどんか(徳間康快の新生大映製作だが配給は東映)。

 ちなみにこの二作も、ちゃんとプロデューサーとして俊藤浩滋は絡んでいる。

 最後の任侠映画。これもまたよく見極めて考察してみたいところである。

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