ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
「チャンバラ狂時代」のブログ。時代劇のこと、その他映画・テレビドラマやら俳優のことなど。
徒然なるままに、時々思いだしたように更新しています。

三船プロがテレビ時代劇に与えた影響

 ホームページ更新、どどんと単発ドラマを増量中。いずれも三船プロ作品。

球形の荒野(1981)

描かれた女(1985)

鼠小僧次郎吉 必殺の白刃(1983)

密偵(1983)

 ちょっと三船プロ関連のデータを強化していかねばナ。ずっと思っていることなのだが、思っているだけじゃ仕様がない。

 

 日本において映画産業が翳りを見せてきた60年代、東宝スターである三船敏郎自らが、思い通りの映画作りをするべく立ち上げたのが三船プロダクションだ。

 大作時代劇を続々と放ち、当初は目的に違わぬ気焔を吐いたものの、やはり時代の趨勢なのか興行成績は伸び悩み、1970年待ち伏せ大コケが決定打となって映画製作からテレビドラマに軸足を移していった。“本編主義”の映画人たちからすれば、それは「身を堕とした」ような格好だったかもしれないが、それでも自前の会社で、スタッフを抱えオープンセットも構え作品づくりに取り組めた三船プロの仕事は、顧みて評価すべきだろう。

 

 とりわけ気になっているのが、もしかするとテレビ時代劇というジャンルに於いて、その形式と言おうか、ひとつのスタイルが構築されていった過程に、もしかすると三船プロは大きな役割を担っていたのではないか、という点だ。

 悪く言えばマンネリズム、良く言えば様式美なのか? 決まりきった型があって、定番のお約束ごとに視聴者は「待ってました」とばかり喝采する。

 同じ曜日の同じ時間に巡ってくるテレビ番組の性質上、当然の流れとして形成されていくスタイルなのであろうが、回数を重ねるうち「お約束」が固まっていった水戸黄門などに対し、三船プロ作品ではあらかじめ戦略的に「お約束」を決めて組み込んでいた気がしてならない。

 最たるものは大江戸捜査網の出陣シーンで流れる“隠密同心心得之條”やラス立ち時の名乗りだろう。このスタイルは、制作母体が日活から三船プロに移ってから出来上がった。

 そして同系統の三船プロ時代劇、例えば隠し目付参上、例えば江戸の牙……番組開始から決め台詞は定められており、毎回必ず盛り込まれている。

 やっぱりこれは、三船プロ作品の大きな特徴と言えるだろう。

 時代劇王国・東映桃太郎侍にしたって暴れん坊将軍にしたって、数え歌やら「余の顔を見忘れたか」やら定形スタイルが出来上がるまでには幾ばくかの時間を要したものである。

 やがて長七郎江戸日記など最初からカッチリ決め台詞が定まったものも他社に増えていき、いつしか「そうでなくてはならない」かの如くテレビ時代劇全体が染まっていってしまうのだが、三船プロ制作作品はこの経過の中で先駆者として大きな影響を与えてきたと言えなくはないか。

 

 偉そうなことをぬかすにはもっと体系的にジャンル全体を俯瞰しなくてはならないのだろうが、ひとまず現時点で提起できるのはここまで。

 言うなれば三船プロの功罪”だろうか。

 三船プロ贔屓だからとて賞賛ばかり並べるつもりは毛頭ないのである。

 金太郎飴みたくどこを切っても同じようなツマラナイ世界にテレビ時代劇を染め上げていった牽引者の役をも、もしかすると三船プロは担っていたかもしれないのだ。

おくやみ──木下忠司・井上堯之

 新聞の訃報記事から。
 作曲家の木下忠司氏、死去。
 なんと!
 いわずと知れた木下恵介監督の実弟、数々の映画やテレビの音楽を作った巨匠だ。
 4月30日、老衰で。102歳とのことである。
 失礼ながら、もう既に鬼籍に入られていたかと思っていた人物だったため、二段階の驚きだった。即ち「エッ、まだ存命だったの」「ああっ、亡くなったのか」というステップを踏んだびっくり。
 案の定、見出しは〈水戸黄門主題歌〉で、記事先頭に挙げられるのは『喜びも悲しみも幾歳月』と『水戸黄門』……やっぱりそのあたりが代表作なんであろうか。
 兄・木下恵介監督作品はもとより、その他映画やテレビドラマ劇伴にだって名作は多い。
 テレビ時代劇に限ってざっと担当作品を挙げてみると……

水戸黄門
破れ傘刀舟悪人狩り
『破れ新九郎』
桃太郎侍
鬼平犯科帳(萬屋錦之介版)
柳生新陰流
長谷川伸シリーズ』
一心太助(杉良太郎版)
単発作品に『それからの武蔵』『宿命剣 鬼走り』東芝日曜劇場中の時代劇作品など多数。

 などであろうか。
水戸黄門』に関しては、メインテーマや主たる劇伴はずっと使われてきたが、後年になって別作曲家の作と思われる劇伴が付け足されていったような気がする。長年にわたってオープニングを飾りつづけたあのマーチ調「あゝ人生に涙あり」のイントロは氏の作品中最も多くの人の耳に残っているのではないか。


 

 しかし個人的に最高傑作として推したいのは、その「あゝ人生に涙あり」イントロの裏返しともいうべき旋律が刻まれている破れ傘刀舟悪人狩り』メインテーマ。とりわけ三船プロダクション作品お馴染み夕陽が大写しとなったバックに達筆・田村繁清の書き文字クレジット、そしてこの木下サウンドが重なるエンディングは、刀舟先生の物語を締めくくるには完璧としか言いようのないひとつの形を成していた。

 そう、夕陽といえば特捜最前線もまた氏の仕事であった。フォントこそ味気ない活字明朝体のクレジットではあるものの、毎度やるせない苦味の濃い物語を締めくくる「私だけの十字架」のメロディー。これもまた名作だ。
 よく間違えてる人が多いのだがクロード・チアリじゃない。ファウスト・チリアーノが歌って木下忠司が作曲しているのである! チアリの曲が使われてんのは『京都殺人案内』だァ!!

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

(オリジナル・サウンドトラック)/特捜最前線 MUSIC FILE 【CD】
価格:2044円(税込、送料別) (2018/5/8時点)


 


 刑事ドラマ繋がりの訃報が並んでしまうのは悲しいが、5月2日、井上堯之氏も死去! 敗血症。77歳とのこと。『特捜最前線太陽にほえろ!という二大刑事ドラマの音楽に関係する二人の逝去を伝えるニュースが並ぼうとは……。
 ひたすら、冥福を祈るよりない。
 合掌。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

刑事魂〜刑事ドラマソング・ベスト 【CD】
価格:2366円(税込、送料別) (2018/5/8時点)


 

5月・6月 時専の予定から

 時代劇専門チャンネルの今月、来月予定から目玉をピックアップ……。何も宣伝役を買って出なくてもいいのだが。ゼニ貰える訳でもないのに。ゼニ貰える訳でもないのに!(←ここ過剰に強調しまっせ)
 何年も契約続けていると、延々同じのばっかりリピートしているなァという印象を強く抱いてしまうものだが、ごくわずかに目新しいものが紛れ込んでいるので中々切れないのである。

 

 まずは今月の作品。
 既に放送された名奉行遠山の金さん(3)』#18スペシャル「美女の陰謀! 関八州あばれ旅」は既に鑑賞、データ採取。ホームページにいち早く反映済み。

→名奉行遠山の金さん(3) -チャンバラ狂時代

 テレ朝(元・NET)&東映の金さんシリーズ完全放送という看板に偽りなし、松方金さんのスペシャルも続々とやってくれているので有難い。
 この後のスペシャル版は、本放送時には第4シリーズを挟む格好で単発扱いだった「江戸城転覆! 女忍者の復讐」「江戸城転覆! 覗かれた赤毛の女」の二本。通常の再放送では第4シリーズに入るや何の説明もなくお竜(斉藤慶子)&轟沢庵(石立鉄男)が密偵として幅を効かせていて戸惑うのだが、その登場編となるのが前者なのですナ。後者は来月のお楽しみ。

 

 “没後200年 伊能忠敬”と銘打って単発ドラマと映画作品を特集放映。橋爪功のテレビ『四千万歩の男』は何度もやっているが加藤剛の映画『子午線の夢』はレアである。丹波哲郎ワークスのひとつとしても観ておかねばならない。
 四千万歩に限らず単発モノは、フジの時代劇スペシャルにしてもヘヴィーローテーションが多い時専。そんな中で「これは!」という珍しいラインナップは……

 

 東芝日曜劇場より『惜春』(1966)『みずぐるま』(1967)『男を金にする女』(1990)
 むむ、大原麗子の『男を~』って我がサイトの1990年放送の時代劇でノーマークではないか。
 一時間モノの単発ドラマ、大路恵美・主演『夜鷹百両』(1994)
  げげっ、これも1994年放送の時代劇まとめの際に見落としておる! これは時専ホームページを見ると山本みどりの色っぽい姿が見られそうで垂涎の一品。
 映画のみとり侍公開記念特集の一環では、森繁久彌田沼意次を演じた栄花物語(1983)……キャストを一見してナショ劇系統・逸見稔ファミリーの作品と知れる。
 そしてこれは1991年放送の時代劇ページを作っているときに知った『吉原悲恋 忍びの女』(1991)。こりゃなかなかお目にかかれないマイナーどころが来たもんだ。

 

 なかなかお目にかかれなかった待望の一本が、来月(6月)に放送される松方弘樹『素浪人花山大吉』(1995)! 田原俊彦・主演『必殺始末人』シリーズに絡め、トシちゃんが焼津の半次で出演している『大吉』もおまけで付けてくれたような形だが、どういたしましてこっちのほうがメインディッシュでござんす。
 高橋英樹・主演『金山大爆破』(1992)もやりそうでなかなかやらなかった一本。何故かアチシの中では1983年のフジ時代劇スペシャ西海道談綺』とごっちゃになっているのだが、これでやっと録画保存できるからモヤモヤがすっきりしそうである。

 

 CS局の恩恵で、加入するまでは全然といっていいほど観ることの叶わなかった90年代単発時代劇の数々が、手元にジャンジャン入ってくるようになった。アチシの立場としちゃこれをせっせとデータ採録、ホームページに載せていかにゃーならんのであるが、現状さっぱり出来ておらんのですネこれが。
 先日、ホームページの資料庫にある作品データの数をちょこっと計数してみた。
 5/2段階で317本(現代劇除く)。
 えっ、これだけしかなかったの、と自分でびっくり。
 そげなもん数えてる暇があったら載せるほうに力入れんしゃい。と言ってるもう一人のアチシがいる。
 手元に溜めている筆記データはおそらくその数倍あるのだ。そして採録できていない映像の山は何十倍、いや下手すると百倍以上……。
 生きているうちに目を通しきれないってことは間違いないけれど、やり始めちまったからには本当にチマチマとでしかなくともやり続けていかねば。誰に求められるでもなく進みゆく途方もない道のり。
 でもこんなのって、誰かに求められたらやる気になれないんじゃないか、とも思う。

 

そのお蔵入り、シミケンにつき

 やれやれ、謎が解けてすっきりしたわい。

 というのは松方弘樹・主演名奉行遠山の金さん第2シリーズ#10「誤審?殺人犯の妹」に関して。

 この回、地上波再放送の際ではいつも飛ばされ、これまで視聴が叶わなかった。このたび時代劇専門チャンネルにてようやく初見。

 

 チャンバラ狂時代・テレビ時代劇資料庫『名奉行遠山の金さん(2) 』
サブタイトルリストの穴が埋まったぞう。

 

 何のことはない清水健太郎が出演していたのだ。そりゃー地上波はパスするでしょうて。

 逆にとらえれば時専はシミケンも構わず放送するてェ訳で、この先、第5シリーズ#31(最終回)「帰って来た暴れん坊」も気兼ねなく観ることができる。

 

 それに引きかえホームドラマチャンネルの弱腰よ!

 現在、里見浩太朗・主演八百八町夢日記第1シリーズが放送されているが、こちらはシミケン出演回「幻の旅路」を華麗にスルーしている。話数には含めていながら放送ナシ。BS日テレと同じ手法ですナ。

 BS局なら所謂“自主規制”(大嫌いな言葉だ)で放送する・しないの選択があってもまァ我慢できるが、直に視聴者からゼニ取ってるCS局でこーいうマネされるってェと怒れてくるってモンである。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【送料無料】八百八町夢日記-隠密奉行とねずみ小僧- DVD-BOX1 【DVD】
価格:31434円(税込、送料無料) (2018/4/21時点)

 

▲ちなみにシミケン出演回は、流通版DVD(スペシャル版除く全話収録)だと容易に視聴可能。

時代劇ライフ2018年2月

 今月はちっともホームページ(チャンバラ狂時代)が更新でけんかったのう……。

 更新したかと思ったら唐突に2時間ドラマのデータだったりして、また新ページ乱立して放置のパターンが続くんではないかなどと我ながら不安になってくる。

 →京都殺人案内 -チャンバラ狂時代

 しかしながら、狭い世界である映画・テレビ制作業界、スタッフ陣の仕事を辿っていると、時代劇関係の人たちも当然、現代劇の現場でも活躍しているのである。スタッフクレジットを眺めるのが最大の楽しみみたいなアチシにとって、「あっ、このキャメラマンがこんなところでも!」なんて発見をしたりするのは、無上の喜びなのだ。

 てなワケで時代劇スタッフ人別帳ともまんざら無関係でもないサイドワーク、これからもちょいちょい手を入れていく所存。

 

 とか何とか言いつつ最近はもっぱら東映チャンネルにて非情のライセンスチェックで忙しいアチシ。毎回えせハードボイルド街道を突き進んでいく兇悪の会田刑事@天知茂センセイから目が離せずこちらの眉間にもシワが寄ってくるような日々を送っている。先日放送の#6「兇悪の目」はゲストに小池朝雄を迎え、ベトナム戦争をテーマに重厚すぎる物語を叩きつけられ、しばし放心状態になった。お、恐るべし70年代刑事ドラマ……。

 絶対に欠かさず録画・保存するから、第3シリーズまで余さず放送してくれよォ。

 と思っていたら、ナーンジャコリャ。


 


 

  4月(VOL.1)・5月(VOL.2)にDVD-BOX発売ですってよ。

 なんか最近、このパターン多いんでないかい。お宝作品が東映チャンネルで放送されるとほぼ同時に、ベストフィールドからソフトが出るっての。江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎とか劇場版『風小僧』とか『ザ・ボディガード』『ターゲットメン』『ゴールドアイ』など、軒並みこのパターンである。一体どういうご事情がおありなのか知ら。

 東映チャンネル以外でも、ホームドラマチャンネルでやった『コードナンバー108 7人のリブ』日本映画専門チャンネル『森繁対談』もご同様だったんじゃないか。ベストフィールド、何者ぞや?

 

 それはさておき、時代劇のほうで最近よく観ているのは日テレ里見浩太朗アワーとも言えた火曜20時台の一連作品、その最終作である『闇を斬る 大江戸犯科帳』だッ!

 多くの時代劇ファンを敵に廻すこと覚悟でアチシは里見浩太朗嫌いを広言して憚らない。なんとも偽善的な雰囲気で説教垂れて、いつも配下を顎で使って自分は動かない里見ヒーロー、ほんっと好きじゃない。コキ使われる配下ってのは長七郎江戸日記が長かったせいか火野正平というイメージが強いが、単発スペシャルの寛永風雲録』でも里見知恵伊豆はやっぱり密偵火野正平を顎で使っていたっけ。

 で、この『闇を斬る』でもやっっぱり里見ヒーローは密偵火野正平を顎で使っているいつも通りの……と思いきや、なかなかどうして、長七郎だの右近だのと葵の権威を嵩に着たいやったらしいそれまでの主人公像とは違って、里見浩太朗らしからぬ横紙破り。自称“闇奉行”の一色由良之助は、乗り込んだ悪人邸で「闇奉行の俺に証拠なんざいらねえんだ!」とステキな名台詞をのたまい、ツベコベぬかそうとする悪玉を斬り捨てる。いやはや里見時代劇の中じゃいちばん見ていられる作品ではないかコレ。なにしろ証拠があるときでも破り捨てて前述の決め台詞に持っていくくらいの横暴ぶりである。アチシはどこかここにかつて萬屋錦之介がやっていた破れシリーズの匂いを感じて、楽しんでいる。

 もっとも里見浩太朗はその後水戸黄門でご老公に出世、またしても葵の権威を嵩に着た実にいやったらしいヒーローを嬉々として演じることになるのだけど。

 

 話があちこち飛ぶが、アチシの敬愛する脚本家で里見アワー作品でも健筆を振るっていた和久田正明氏の新作時代小説がまた出ているのでちらっと紹介しておく。小学館文庫より『提灯奉行』

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

提灯奉行 (小学館文庫) [ 和久田 正明 ]
価格:658円(税込、送料無料) (2018/2/28時点)


 

  将軍・家斉の御台所である寔子が襲撃され、その危機を救った提灯奉行・白野弁蔵。目付から影扶持を与えられ密命を受けている武骨な初老御家人のかれは、こともあろうに将軍家正室に慕情を抱き、そしてまた助けられた寔子のほうでも白野に異性として惹かれる。

 和久田脚本では『また又 三匹が斬る!に「男売ります、悲しき提灯奉行」なんてのがあったなァ、と思い出されるが、あちらの赤塚真人と違って本作の主人公・白野弁蔵は腕の立つ硬骨漢。名は『シラノ・ド・ベルジュラック』(をもじった白野弁十郎って翻案モノもあったっけ)をモチーフにしているのであろうか、しかしシラノとロクサーヌの場合と違い白野・寔子は相思相愛、けれども絶対に叶わぬ恋なのは言うまでもない。

 ありえないシチュエーションながら人妻(それも時の将軍の!)と小禄の役人が想い合う展開を軸に、影の集団による陰謀を粉砕する物語は、ちょいとトキメキながらページを繰らせる引力がありますぞえ。

 脚本家時代から、和久田氏はキャラの魅力を光らせるのが巧い人である、ってェのがアチシの持論だ。

時代劇ライフ2018年1月

 寒い。とにかく寒い。灯油を買う銭も尽きた。ガタガタ震え、かじかんだ手でペンを取って資料整理に明け暮れる生活もとっくにマイナス会計に突入している。

 働かなくっちゃ喰えないのだが、なにしろ働くのが嫌で仕方ない素浪人である。時代劇の世界なら辻斬りか強請りたかりに身を染めているクチかもしれない。

 ここで宣言しておいたテレビ版柳生武芸帳ページ作り、なんとか1月中に実行。現存の初回映像は確認できていないが、この番組に関してこれ以上詳しく情報を得ようと思ったら、当時の台本でも発掘されるのを待つしかないのであろうか……。
 
 出演者の顔ぶれから察すると、北竜二の役は松平伊豆守あたりだろうか。いや土井大炊頭も考えられるが……出演回数からみて主人公サイドの知恵伊豆っぽいんじゃあないか、してみると土井大炊は北村英三だろうか、などと憶測に過ぎない想像を巡らせるしかない。

 BS・CS方面の収穫は、ほぼ穴埋め録画に終始していた。BSトゥエルビ伝七捕物帳テレ朝版) にBS-TBS水戸黄門(14)』時代劇専門チャンネル大岡越前(4)』『吉宗評判記 暴れん坊将軍など。新規収穫はこれも時専で『はぐれ医者 お命預かります!』『父子鷹』など。アチシにとって比較的馴染みの薄かった90年代作品が続々手に入ってきているのは嬉しいところである。

 しかしまだまだマイナーな作品はある。アチシがアンテナ取っ付けて衛星加入したのはここ5年ほどのことであるが、その間に時専でも放送されていないもので是非お目にかかりたいのは……三田村邦彦主演『殿さま風来坊隠れ旅』『将軍の隠密! 影十八』やら、テレ東系の小野寺昭主演『おらんだ左近秘剣帳』であるとか、NHK『大江戸風雲伝』といったところ。またこれは2000年代に入っての作品だが片平なぎさ主演のテレ朝制作必殺亜流『天罰屋くれない 闇の始末帖』なんかも押さえておきたいのだが、イマイチすぎて需要がないんであろうか……。

  気ばかり多いのがアチシのよくないところで、ホームページ内も新規ページ作って放ったらかしが非常に多い。個々の内容を充実させていくのも寛容と、このところ三匹が斬る!をせっせと観たり、またいよいよ時専で松方弘樹版に入った金さんをチェックしたりと努力はしている(はず……)である。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

三匹が斬る! DVD-BOX(DVD)
価格:23469円(税込、送料別) (2018/2/8時点)


 時代劇に身命捧げているのであれば、酒喰らってイタリア発の超絶諷刺SF社会派?映画『宇宙人王さんとの遭遇』とか綺麗なねーちゃんが美脚チラつかせて暴れるベトナムアクション『レディ・アサシン 美人計』とか韓国産モンスターパニック『人喰猪 公民館襲撃す!』とか観ているヒマはないはずなのだが、そこはまぁ好きモノの性(さが)というヤツ。山本リンダじゃないが、どうにも止まらないのである。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

宇宙人王さんとの遭遇 [ フランチェスカ・クティカ ]
価格:3693円(税込、送料無料) (2018/2/8時点)


  誰に求められるでもない収益のない仕事こそ最も意欲を発揮すべきであると信じてやまない素浪人は、この2月も忙しくなりそうじゃわいと大いに意気込んでいる。

 何しろ東映チャンネル非情のライセンスが始まる。そしてこれまたずっと観たいリスト上位にあった高橋英樹『編笠十兵衛』もスタート。

 時代劇専門チャンネルの要チェックは、藤沢周平特集の一環で放送される『傑作時代劇』中の4作「へそ曲がり新三」「おんなの密書」「しぶとい連中」「夢ぞ見し」だっ! なぜかこれまで全然ラインナップに入らなかった菅原文太主演2作のうち、わけても「しぶとい連中」は笠原和夫脚本作品である。待ってましたの一言に尽きる。これで同番組はホームドラマチャンネルでゲットした怪談系も含めると、森繁久彌主演「半七捕物帳」以外は全て手中に収まったんではなかろうか。

 地上波も里見黄門(CBC)に北大路平次(テレビ愛知)が続々補完されており、まず以て我が時代劇ライフは順風満帆。 

  ただ問題はそれを下支えする家計がぐらぐらという一点。ってダメダメやんけ。

雪の日のホームページ更新

 ベランダの手すりに23ミリも雪が積もった。寒くって仕様がない。

f:id:chanbara310:20180124214058j:plain

 今日も今日とて心を虚しうする賃労働を終え、帰り図書館に寄って時代劇絡みの調べ物をしてきたのだが、一歩踏み出ると雪景色になっていて大いにぶったまげてしまった。

 アスファルト上、人に踏まれる頻度の高いあたりは半溶けのシャーベット状になり、とても自転車で帰れたもんじゃねえってんで泣く泣く停め置きして地下鉄帰宅。わずかな電車賃の出費にも歯噛みして口惜しがる素浪人でござんす。

 

 何であろう、非生産的な一日を送るのが無性に恐い。強迫観念のようなものに囚われて、データ採りであるとかHP更新であるとかいった何かをしないで一日を終えたくないのだ。

 本日も、ちまちまっとHPいじり。

 相変わらず情報が遅い人間で恐縮なのだが、大映→映像京都で活躍した録音技師の大谷巌氏、昨年亡くなっていたのをキネ旬の訃報記事で読んでおり「人別帳」に反映しなければと思っていたのだが、ようやく果たせた。

時代劇スタッフ人別帳「お」 -チャンバラ狂時代

 享年が97とか98とか情報が錯綜していたが、佐藤忠男・編『日本の映画人』に生年月日は記されているのでそれを参照。8月4日生まれ、誕生日の直前たる8月3日に亡くなられたようである。

 

 普段、何の気なしにただ映画を観ていると忘れがちになるのだが、各セクションに熟練のスタッフがいてベストを尽くして作品に取り組み、その結晶として生まれたものが今なお残って鑑賞できるようになっている。

 しかし専門的な知識を持ち合わせておらぬ故に、その職人技の細かいあれこれが判らないアチシはひたすら不勉強を恥じるしかない。

 無為に過ぎていく夜に雪が降り積もってゆく……。