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「チャンバラ狂時代」のブログ。時代劇のこと、その他映画・テレビドラマやら俳優のことなど。
徒然なるままに、時々思いだしたように更新しています。

兄弟仁義

 CSに加入していると、つい「リピート放送があるから……」と油断して録画逃しをすることがある。東映チャンネルで任侠映画のシリーズものを随分と予約漏れで逃したものだ。以前は口惜しがったり落胆したりしたものだが、この頃では「またちょっと間を置いて放送してくれるから……」なんて大分厚かましくなってきている。

 それでも録り溜めディスクの確認をしていて「あれっ、これの第一作ってなかったっけ!?」なんて後からショックを受けることもある。

兄弟仁義』も第一作を録り逃していたシリーズだった。プログラム・ピクチャーのシリーズものなんて一策毎に独立した別の話で、一種パラレルワールドみたいなものなので順を追って観る必要などないのだが、何となく『続』から入るのは気分が落ち着かない。そんな訳でこのシリーズ、溜まってはいるものの手をつけられずにいたのだが、このほど日本映画専門チャンネルにてシリーズ一挙放送ということでプログラムに組み込まれ、ようやく一作目を録画することができた。

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兄弟仁義(1966年/東映京都)
脚本:村尾昭鈴木則文
監督:山下耕作
出演:松方弘樹北島三郎宮園純子、安部徹、待田京介、人見きよし、香川良介、村田英雄、鶴田浩二

 弟分(人見きよし)と組んでケチなイカサマ博奕を打っていた流れ者・貴島勝次(北島三郎)。上州は草間の湯元でイカサマを見抜かれ窮地に立つも、鳴子組親分(村田英雄)の度量に救われる。肝胆相照らす仲となった代貸の勇吉(松方弘樹)とは晴れて兄弟分となったのだが、湯元の権利を狙う鬼頭組親分(安部徹)の差し金で鳴子親分は暗殺されてしまう……。

 ご存じ北島三郎の大ヒット曲を受けて作られたそのまんまタイトルの任侠映画。サブちゃんが映画俳優としてはまだ海のものとも山のものともつかぬ存在だったためか、モノクロの低予算作品である。クレジットも松方/北島の二枚看板となっており(サブちゃんはその二番手扱い)、おまけに実質の主役は友情出演扱いの鶴田浩二だったりする。
 親分を殺され頭に血が昇った松方兄ちゃんが殴り込み。しかし果たせず刑務所行き。親分の遺言で一家ともども堅気になったサブちゃん、それでも横車を続ける安部徹親分とサシの勝負で権利書を奪還するのだが、奇襲を受けて無念の最期を遂げる。
 そう、第一作ではサブちゃん死んでしまうのである。これは知らなかった驚いた。んで、出所した松方がリベンジ戦……かと思いきや、足を洗った風呂屋は引っ込んでなはれとばかりに鶴田のオヤジがおいしいとこ取り。サブちゃんの歌唱する『兄弟仁義』をバックにただ一人殴り込んでいくのだった。まるで『昭和残侠伝』池部良がひとり歩きしたが如き展開!
 松方/北島のシャシンではいかにも弱いだろうという興行的な意図が見える作りではあるが、この映画もちゃんとヒットして次作からは名実ともに北島三郎・主演のシリーズとなっていく。その歩み出しの第一作は後年の目から見るとなんだか新鮮なようでもあるのだった。
 薄気味悪い待田京介ヒットマン(こういった役は沼田曜一向きだが)に急襲され相討ちに持ち込んで絶命する鳴子親分の娘には宮園純子が配されており、これがなかなか良かったりする。代貸の松方と恋仲ってのはよくある役回りだが、親分の遺言を受けてのやくざ廃業宣言のあたり、なかなかどうして任侠映画の添え物になりがちな女性キャラクターとしては毛色の違った“もの言う女”ぶり。このあたりは鈴木則文の筆が活きているんではないかと勝手に想像するのだがどうなんであろうか。