ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
「チャンバラ狂時代」のブログ。時代劇のこと、その他映画・テレビドラマやら俳優のことなど。
徒然なるままに、時々思いだしたように更新しています。

沈黙の映画評・俺はそれでもセガール映画を観るぞ

 まずタイトルは四方田犬彦の本のタイトル(『俺は死ぬまで映画を観るぞ』)をもじっただけのものであることを初めに断っておく。別にそれほど強い信念がある訳じゃないので誤解をしないで戴きたい。

 アチシが時代劇に親しみ始めたのは、小学校高学年くらいの頃からだろうか。徐々にマニア化の一途を辿り、後戻りのできない冥府魔道へと立ち入ってしまい現在に至る訳だが、それとほぼ時を同じくしてもう一つ恐るべき道に足を踏み入れていたのである。
 洋画ウォッチャーの中には少なからず同じ道を歩む御仁もおられよう、抜け出そうにも抜け出せない「セガール」とでも呼ぶべきものである。

 今はなりを潜めてしまって久しいが、かつて民放各局は洋画劇場の枠を持っており、メジャー大作からB級ゲテモノ映画まで幅広い洋画を毎週放映していた。90年代はアーノルド・シュワルツェネッガーシルヴェスター・スタローンブルース・ウィリスなどのアクション映画がそれら洋画劇場枠の定番だった気がする。

 そんな中に混じってやはり常連だったのがスティーヴン・セガールだ。
 アチシが最初に接したのは(幸いにも)デビュー作である『刑事ニコ/法の死角』("ABOVE THE LAW" 1988年)で、素晴らしくキレのある体術、凛々しくエネルギッシュなヒーローぶりに「この俳優は凄い!」と心から思った。
 当時は「スーブン・シーガル」とか「スティーブン・セーガル」など表記も一定していなかったこの俳優、まことしやかにモノホンの元特殊部隊員みたいな謳い文句で売り出され、実際そうであったとしてもおかしくないような理に適った身体操法、プロっぽい武器捌きを使って独自のアクションワールドを作り上げていた。
 初期作品の『ハード・トゥ・キル』『死の標的』『アウト・フォー・ジャスティス』『沈黙の戦艦など、本当に面白かった。テレビ放映はもとより、ビデオレンタルなどでもセガール映画を求め片っ端から鑑賞したものだった。

 ハリウッドのアクション映画といえばガンアクションに爆発、ひたすら火薬、火薬でドッカンドッカンうるさいものと思ってあまり好きでないのは、アチシの現在に至るまで続く嗜好である(同じ理由で石原プロの刑事ドラマも大嫌いだ)。セガール映画も火薬使用量は結構なものだが、それを上回る体術アクションの美学があり、好きになれたのだ。
 少なくとも、昔は。

 時を経るごとにその肉体を膨張させ続けていくセガールおじさんは、すっかり往時のキレを失っていった。
 アクションも合気道の応用技はどこへ行ったのか、単純な殴る蹴るの連続が多くなり、しかもそれさえセガール本人がやるでなし、スタントダブルを使用。切り返しで本人の顔のアップを挿入するというサボりアクションお茶を濁すようになった。
 ソフトのパッケージや予告編では“セガールアクション”だの“セガール拳”といったアオリ文句が使われるが、冗談言っちゃいけない、特色であった合気道などの格闘技を使わぬアクションはセガールアクションと呼べるもんじゃない。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

刑事ニコ/法の死角/ハード・トゥ・キル [ スティーヴン・セガール ]
価格:1570円(税込、送料無料) (2017/9/18時点)


 

 それでもセガールおじさんは性懲りもなく主演作を連発、本国アメリカではビデオスルー作品に落ちていても、日本では根強い人気を保っているため小規模な劇場公開もされ、レンタル点にはお馴染み『沈黙の〜』と冠された新作が並び続ける。
「どうしようもねえなァ」
 半ば呆れた呟きを漏らしつつ、手に取ってしまう。
 観てガッカリさせられるのを承知で、それでも少しでいいからかつてのキレを思い出させるアクションを見出せはしないかと、一縷の希望をかけてブクブク太ったセガールおじさんの映画を観てしまう。観る度に大ブーイングしながら。しかしそのどうしようもなさをこよなく愛しながら。まさしく後戻りのできない冥府魔道だ。
 それでもアチシはセガール映画を観るぞ。

 てな訳で、長年のセガール愛好家の一人として、このブログでも新旧の順にこだわらずセガール映画のレビュー(題して「沈黙の映画評」)を不定期に載っけていこうと思う。
 願わくは、セガール道に踏み込もうとする迷える仔羊たち(注・「沈黙」にかけている訳ではない)たちの手引きにならんことを……。

現時点での最新作はコレか。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

沈黙の激戦 [ ラッセル・ウォン ]
価格:3581円(税込、送料無料) (2017/9/18時点)