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「チャンバラ狂時代」のブログ。時代劇のこと、その他映画・テレビドラマやら俳優のことなど。
徒然なるままに、時々思いだしたように更新しています。

沈黙の映画評『アウト・フォー・ジャスティス』暴力刑事の極致

 久々になってしまったがセガール映画評シリーズ、今回は初期作品のコレだッ!

アウト・フォー・ジャスティス [ ウィリアム・フォーサイス ]
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 この映画ではセガールが演じるはブルックリンの刑事ジーノ。『刑事ニコ/法の死角』同様イタリア系。幼馴染で相棒刑事のボビー(ジョー・スパターロ)がヤク中のやくざ者リッチー(ウイリアムフォーサイス)に白昼射殺され、復讐に燃えるというそれだけの筋書き

 しかしリッチーもまたジーノやボビーと同じ街で共に育った幼馴染であり、ジーノは彼の両親に随分と世話になっている……とくれば何やら葛藤がありそうなところだが、そこは復讐とか大義名分をカサに暴力振るいたいばっかりセガール、お構いなしである。単独でメチャクチャやるのを警察内でも黙認されているのか一切の障害なしで突っ走るジーノ刑事、リッチーをいぶり出すとかいう小細工のつもりもなさそうな暴れっぷりで、リッチーの弟ヴィニー(アンソニー・デサンド)の店を壊し、クラブを経営している妹パティ(あばずれっぷりが中々ステキなジーナ・ガーション)もブタ箱へ放り込む。そして恩人たる親父さんまで不法逮捕!

 対するリッチーもヤクの吸い過ぎでイカレて凶暴化しており、罪もない人間(無名時代のジョン・レグイザモも被害者だ)を撃ちまくるような極悪。組織からも面汚しとばかり破門状が出ているゲス野郎で、どっちもどっちの復讐劇はその果てで殺られたボビーも大概のクズだったことが判明してしまう。でもそんなの関係ねえ! 暴力が振るえればそれでいいセガールフォーサイスをボッコボコにして息の根止めてジ・エンドなのである。

 

 何故か奥さん(ジョー・チャンパ)と離婚調停中のジーノ刑事、車から放り出された仔犬を救ったりと優しい面も見せつつ、基本は血の気の多い暴漢。全く感情移入できないヤな奴でしかない気がするのだが、ジョン・フリン監督はテンポ良く映画を進行させ観る側にあまりそこらへんを感じさせず捌いていく。流石チャールズ・ブロンソンのワンマン映画でならしたJ・リー・トンプソンのもとで学んだだけあるなァ。

 初期はマトモだったと思いきや所詮セガールセガール、ろくでもない映画ばっかりだなァと幻滅するのはお待ちなせえ。やっぱり初期はアクションがしっかりしている。スタントやカット割で誤魔化さずきっちり合気道技をキメるし、車もちゃんと自分で運転しているのが現在の目から見ると感涙モノだ。

 銃には銃、素手には素手、武器を持ってかかってくる奴にはその武器を奪い取ってきっちりお返しキメるというアクションのストーリー性も、序盤の肉屋乱闘からラストの対フォーサイス戦まで一貫しているのも痛快。

 なんだかんだで、合気道を駆使した“正統セガール・アクション”を観たいと思ったら、選ぶべきはこのあたりの初期作品に限られてしまうのだよなァー。

 

 それからもう一つ見どころは、数々の作品で「タフガイ」をやたら目の敵にしているセガールおじさんがそのタフガイいじめをしている第一号(?)がこの『アウト・フォー・ジャスティス』にある点だ。

 車から仔犬(可愛いコラッジョ君=ジー命名)を投げ捨てたワゴン車のおっさん、「再会できますように」と祈ったジーノ刑事の願いは叶ってラスト、よりを戻した奥さんとデート中にばったり再会。当然ぶちのめしたのち、コラッジョ君による報復のオマケつき。このおっさんのクレジットはその名も“Station Wagon Tough Guy”であった。

 

 

『アウト・フォー・ジャスティス』1991年4月(本国封切)/アメリ
原題“OUT FOR JUSTICE”…直訳すると『正義を求めて』になるのだろうか? 内容からすると『正義のために(道を)外れろ』としてもいいような気がするが。
という訳で勝手に邦題『俺が正義だ』

エグゼクティブ・プロデューサー…ジュリアス・ナッソ
プロデューサー…スティーヴン・セガール、アーノルド・コペルソン
アソシエイト・プロデューサー…ジャクリーン・ジョージ
コ・プロデューサー…ピーター・マグレガー・スコット
脚本…デイヴィッド・リー・ヘンリー
監督…ジョン・フリン

出演…スティーヴン・セガール(ジーノ・フェリーノ)、ウイリアムフォーサイス(意外にやられアクション頑張っているリッチー・マダーノ)、ジョー・チャンパ(離婚調停中ヴィッキー・フェリーノ)、シャーリーン・ミッチェル(ボビーの奥さん・ローリー)、ジーナ・ガーション(10ドルの売春婦ことパティ・マダーノ)、ジェリー・オーバック(ジーノを野放しにしているロニー警部)、ジェイ・アコヴォーン(リッチーの手下)、ロン・マッコーン(マフィアのドン・ヴィットリオ)、サル・リチャーズ(代貸格のフランキー)、ジョー・スパターロ(浮気者ボビー・ルポ)、ジュリアナ・マルグリーズ(リカ)、ソニー・ハースト(歯を折られるタトゥー野郎)、ジュリアス・ナッソJr(なんとジーノの息子トニーを演じているのはセガールと二人三脚だったプロデューサーの子息ではないか!)、ソニー・ジトー(Station Wagon Tough Guy)