チャンバラ狂時代 事始(2)
時代劇のキャストデータを蒐集し、サイトにアップするようになって幾らか経つうちに、次第と興味の方向が変わってきた。
表に立って脚光を浴び、功績も残りやすいのが出演者=俳優だ。
その俳優でも主役格より脇役、悪役の人たちが好きなのはへそ曲がりな性分のせいなのかもしれないが、今度はそれよりも、もっと脚光を浴びることの少ない人たちに目が向くようになった。
出演者よりも、制作に携わったスタッフ陣の仕事に興味が強くなったのだ。
これには枕頭の書として貪るように読み続けている能村庸一・著『実録テレビ時代劇史 ちゃんばらクロニクル1953-1998』(1999年1月/東京新聞社)の影響が多分にあるかもしれない。
それまでキャストを主とし、僅かに脚本・監督のみ記すに留まっていたクレジット写しは、残さず全てのスタッフまで写すようになり、いつしか心境としてはキャストがおまけでスタッフがメインのようになってきた。
知ったからといって一文の得にないかもしれないのに、知りたくて仕方がない性分は、「この技師がこんなところでも仕事を!」とか「この人は○映の出身だがフリーになって○○プロでこれこれの作品にも参加して……」とかいった“情報”を掴むのを無上の喜びとするに至ったのである。
ここから派生して、資料を参照し不完全ながらその経歴や関係事項などを記していく「時代劇スタッフ人別帳」なるページが誕生した。
諸資料からの孫引きずくめで、先人の仕事をつまみ喰いするばかりの愚かしいページに過ぎない。が、どうにもやらずにいられない気持ちで手を染めたものだ。
わけても、映画と比べてまだ再評価の声が低いテレビ作品に研究(?)の意欲が強い。
たとえば誰か監督を扱った書物などにおいても、参考資料としてフィルモグラフィは載せられているがテレビ作品についてはほんのついでのように添えられているか、あるいは全く触れられていない、なんてものもある。
(そこへいくとワイズ出版の書籍はさすがの一言に尽きる。テレビ担当作も網羅した巻末資料は圧巻だ)
映画の全盛期には間に合わず、テレビドラマを主戦場としたスタッフについては、はなから足跡を顧みようともしない風潮さえあるのでは、なんて気もする。
確かにお偉い評論家センセイなどにとっては、一夜限りのテレビ番組は考察するに値しないのかもしれない。しかしそこにだってスタッフ陣の労苦の結晶としての作品が存在している訳なんじゃァないか。
へそ曲がり気質が、より一層こんな作業への意欲を燃やしているらしい。
だから、どちらかというとここでは映画よりもテレビで活動した人たちを主に据えて取り上げる傾向が強い。
資料繰りよりも、実際に関係者へ当たって……の調査が本当なのだろうが、なにぶん学もなければ肩書きのカの字も持ち合わせていないぼうふらのようなアチシである。なかなか踏み出す度胸が持てずにずるずるとやっている。
そろそろ動き出しては……と、もう一人の自分がしきりと発破をかけてくる。
実録テレビ時代劇史 [ 能村庸一 ] |