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「チャンバラ狂時代」のブログ。時代劇のこと、その他映画・テレビドラマやら俳優のことなど。
徒然なるままに、時々思いだしたように更新しています。

時代劇ライフ2017年4月


 大好きな作品を全話観終えてしまう悲しさったらない。残り3話、残り2話、1話とカウントダウンしていくときの思いは何とも形容しづらい。
 アチシの主食(?)はテレビ時代劇なので一話完結のものが多く、連続した物語が終わりに向かっていくというのではないが、それでも全て観終えた後の、心にぽっかり穴が開いたような気持ちは寂しい。

 2クール26話とかそれくらいの量を一体どれだけ時間かけて観てんだって話だが、この4月で『ご存知女ねずみ小僧』『お耳役秘帳』を観了。メモにある初回の視聴日を見ると2015年3月とか2016年5月とか……2年や1年がかりかい!
『ご存知女ねずみ小僧』は男ねずみ・三国連太郎がどうにも作品のカラーに最後まで馴染みきれていないようでチグハグな印象が拭えない上、少なからずイマイチな脚本もあったりして「なんだかなァ」な感じだったのだが、それにしても主演・小川真由美の唯一無二の存在感、橋場清の音楽など、好きな作品である。これで小川真由美の女ねずみは全て観てしまったと思うと──いや、映画『ねずみ小僧怪盗伝』があるか?

『お耳役秘帳』は何から何まで文句なしの傑作。大半の回を執筆しているメインライターは和久田正明センセイで、期待を裏切らぬクセのある変化球には毎回楽しませてもらえたし、他にも竹内勇太郎、中村努ら諸氏の担当回も名篇多し。
 そしてエンディングを飾る主題歌「陽かげり」のカッコよさといったら! アチシが本作に一発でマイッたのはズバリ言ってコレだった。主演・伊吹吾郎による歌唱、吐き捨てるようなサビ部分の歌詞に痛いほどの共感を覚えうるうるしてしまうアチシもやっぱり日陰を突っ張って歩くはぐれ者である。

 女ねずみロス、お耳役ロスで少々おセンチになっているアチシを次に襲うのは。ホームドラマチャンネルでそろそろ終わりを迎える『必殺必中仕事屋稼業』ロスであろうか。しかしこれを通り抜けぬことには通称“村尾昭最終回三部作”の検証はおぼつかない。
 村尾昭もまた偏愛の域に近づきつつあるライターのひとりだ。この人の打ち出す“滅びの美学”には非常に惹きつけられる。
 たまたま、であるがひもといていた俊藤浩滋のインタビュー本『任侠映画伝』で改めて気づかされたのだが、任侠映画の主要シリーズ、大半の作品を執筆しているのは村尾昭なのである。ビッグネームは笠原和夫高田宏治あたりだろうが、残した足跡の多さから村尾昭という名も忘れてはならない。
 数が多いのは言い換えれば大きな枠組みの中でそれに沿ったものを量産した便利な職人、ということになるのかもしれないが、決してそう簡単に片付けていい人でないだろう。名作と名高い加藤泰監督の『明治侠客伝 三代目襲名』(鈴木則文と共作)や、世評こそ取り立てて高くはないものの任侠映画中では相当高い水準を誇っている『傷だらけの人生』など、いずれも(任侠映画のドラマ展開では必然的といえる)情と義の相克、しがらみから発するカタストロフィの描き方はピカイチである。そしてその手法は、テレビ脚本に移ったのちも巧みに活かされている。
『必殺必中仕事屋稼業』など最たるもので、母であることを隠した元締・おせい(草笛光子)の政吉(林隆三)に対する思いと稼業上の掟とがぶつかり合うドラマ性はまさに村尾脚本の独擅場なのである。

 東映チャンネルに加入しているおかげで任侠映画も大分録画が溜まってきている。ここらで村尾昭の仕事を追う意味を兼ねて一気に消化していくのもいいかなァ、などと思っている。