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「チャンバラ狂時代」のブログ。時代劇のこと、その他映画・テレビドラマやら俳優のことなど。
徒然なるままに、時々思いだしたように更新しています。

任侠映画総覧計画番外地『破門組 仁義なき戦争』

  以前エラそーに任侠映画の定義づけなんぞしてみたことがあるけれど、そこでアチシはこのブログ内不定期連載(気が向いたら書くだけ)「任侠映画総覧計画」で取り扱う作品を東映のある時期に絞った“それっぽい”ものとひとまとめにしてみせた。

chanbara310.hatenadiary.jp

 舌の根、乾いちゃおりません。

 でも早速あさっての方向へと脱線してやらァ。

 てなワケで今回はVシネをひとつ。任侠映画総覧計画の箸休め脇道ってェことで、番外地とでもしておきやしょう。番外地から帰って来られますといいんでやすがね。

 

 Vシネという言葉も難しいもので、本来なら東映により商標登録されているのだから、他社のOV(オリジナルビデオ=劇場公開されず直接ソフトとしてリリースされる)作品をVシネマ呼ばわりしてはならないのだが、やくざモノのOVはやっぱりVシネの語が一番しっくりハマるのだからこう呼びたくなる。

 その意味で現在のVシネ界はほとんどオールインが一手に握っていると言ってよかろう。GPミュージアム(その前は「GP」がつかないミュージアム)だったと思ったらいつの間にかオールインに社名変更しているが、群雄割拠(?)する制作会社あれこれの作品をそっくりまとめて面倒見て販売元となっている総元締みたいなところである。

 

 前置きはこれくらいにして、本題。何となく観てみたら異様に愉快だったので困った。

『破門組 仁義なき戦争

2015年
製作・発売:コンセプトフィルム/製作協力:アトリエ羅夢/販売:オールインエンタテインメント
製作:及川次雄/営業統括:木山雅仁/プロデューサー:土屋勝則、山地昇
監修:曽根晴美/脚本:山地昇/監督:金澤克次
出演:原田龍二大沢樹生堀田眞三、川本淳市、中丸シオン、木村圭作、宮本大誠、仁支川峰子藤巻潤

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 横浜に縄張りを持つ山王会傘下・市原会の市原会長(堀田眞三)は、横槍を入れてきたイケイケ田所を排すべく最古参の子分・井上にハジかせるのだが失敗。山王会幹部クラスの藤堂に手傷を負わせてしまったものだからサァ大変。山王会執行委員長・藤田親分(藤巻潤)のもと吊し上げられるのは必至である。

 井上は内々に始末したものの、それだけで収まらないのは明らか。そこで市原会長、右腕と頼る若頭・佐倉恭一(原田龍二)を破門する。

 全て佐倉が独断でやったということにして、市原会とは無関係……その代わり極道社会からのドロップアウトを意味する“破門”の処分を受けた佐倉は、市原会長に火の粉を及ぼすことなく全く無関係の外野として陰からサポートする遊撃隊に徹することができるワケである。うへえ、なんつー都合の良いメチャメチャなロジック。

 佐倉を慕う弟分ら(川本淳市、松田優、木村圭作、宮本大誠)も従い、ここに破門組が結成されるのであった。

 

 と、うまいこと保身したつもりだった市原会長だったが、幹部会でなな何とシマ全部取り上げられて藤堂のものにされてしまったうえ、藤堂の腹心・更科(大沢樹生)に太モモ刺されて半分引退に追いやられてしまう。

 どうやら田所をけしかけてきたところからみんな藤堂の描いた絵図だったらしいと情報を掴んだ市原会長は、“破門組”佐倉を呼びつけウラ取り&始末を命じるのであった……。

 

水戸黄門の助さん役がなくなってからというもの、弟(本宮泰風)の縁を頼ってかVシネ出演が多くなってきたような龍二兄さん。今やすっかり凄味抜群の弟がハバ効かせているこの世界ではまるで迫力不足のニセ本宮といった印象なのが悲しい。

 それはさておき堀田眞三(=堀田真三)が素晴らしいのである。髪は真っ白でも眉毛は黒々、一向に枯れる気配のない堀田サン。みんな大好き堀田サンのことはもちろん金澤カントクとて大好きなのだろう、いつにも増してロクでもない親分像を実に活き活きと演じさせてくれている。

 重用する側近たる佐倉をトカゲの尻尾として切るにあたっての泣き落としやら、幹部会で責められての狼狽ぶり、モモぷっすりやられてのたうち回る惨めな様やら、オイシすぎる役どころでしょうこれは。今やすっかり(中略)ニセ本宮といった印象の原田龍二は霞むしかない、堀田サンの作品になっちまっているではないか。

 堀田サン演じる市原会長は養豚業から叩き上げた関西系やくざ親分らしい。ハマで一体何をシノギにしているのだか判らぬが、クラブで商談しているシーンがふるっている。

「よろしか社長、これからの農業は百姓やのうてエンジニアがやる時代でっせ」……「それらの管理システムに投資するのがグローバルとちゃいまっか

 堀田眞三がグローバリゼーションを語っておる! ……素晴らしすぎる。