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「チャンバラ狂時代」のブログ。時代劇のこと、その他映画・テレビドラマやら俳優のことなど。
徒然なるままに、時々思いだしたように更新しています。

任侠映画総覧計画『監獄人別帳』リブートした網走番外地!

監獄人別帳(1970年4月/東映京都)
脚本:石井輝男掛札昌裕
監督:石井輝男
出演:渡瀬恒彦佐藤允伊吹吾郎大辻伺郎、尾藤イサオ、賀川雪絵、沢彰謙、上田吉二郎、沢淑子、荒木一郎清川虹子内田良平嵐寛寿郎

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網走番外地シリーズの看守さんといえば関山耕司、山本麟一あたりのイメージが強い。権威をカサに威張り散らして健さんら囚人をいじめるものの、当然あとでヒドい目に遭うってのがお決まり。よくお巡りをブッ殺す東映らしい展開と言えようか。

 シリーズが石井輝男の手を離れ「新」になっている間に、ご本尊の石井カントクは主人公〈橘真一〉を復活させた。東映入社したての渡瀬恒彦で。しかも京都撮影所で。それが「人別帳」シリーズ二作だ。

 渡瀬デビューの殺し屋人別帳に続く第二作『監獄人別帳は『網走番外地』第一作の焼き直しと言っていい。もっとも、かなり硬派だったオリジナルに比べると大分“不良性感度”高めのお下品路線を突っ走っている。

 貧しい暮らしのなかから極道者になり殴り込みの果てが網走監獄行き、妹の手紙で母親の重病を知るという橘真一(渡瀬恒彦)の設定は変わらず、もう一人の主軸となる吉岡(佐藤允)の復讐物語がストーリーを引っ張る。父を殺した警察長官(沢彰謙)を討ち果たすべく親兄弟ぐるみの脱獄計画、今回の網走は吉岡の妹(賀川雪絵)もいるため女囚部屋も絡んできてピンクな要素も割り増し、いよいよお下品という趣向である。

 シリアスからおふざけ全開まで多様だった『網走番外地』、本作は最もシリアスだった第一作を思いきりハッチャケさせて焼き直したようなもので、当然の如く鬼寅親分(嵐寛寿郎)も登場してしまうのだが、もはやこの人は説明不要レベル。都合のいい最終兵器といった扱いで大いに笑わせてくれる。これ網走シリーズとして観ていない人は訳が判らず置いてけぼりなんじゃないか。「何だこのチートじじいは!?」てな塩梅である。

 

 狙いすぎがあざといようなお笑い部分や、ちょいとテンポを削ぐお涙頂戴の回想(見どころはガッコの先生波多野博か)が引っかかるなァ、なんて思うようになっちまったらもう立派な網走シリーズマスターである。

 そんな上級者の皆さんには、ゼヒ京都撮影所版・網走番外地の看守さんたちを楽しんで戴きたい。

 やたらデキすぎた人物の内田良平はともかく、兇悪そのものと言える他の面々は千葉敏郎、阿波地大輔、鈴木金哉といったコワモテたち。残忍にして好色。実にいい味を出しているのである。せっかくの京撮版「網走」なのだから、どうせなら他にも小田部通麿、北川俊夫、有川正治、秋山勝俊、志賀勝といったイカツい顔ぶれを総動員してきて欲しかったところだ。

 そして何より特筆すべきは、やはりこの人だろう。東京撮影所の顔と呼べる名脇役のひとり、石井カントクお気に入りでもある沢彰謙が、京撮版「網走」のラスボスという大役に抜擢されている点である。この人、旧シリーズじゃ皆勤賞だったんではなかろうか、初回の健さんに飯をなすりつけられる継父役を筆頭に、良いおじさんからコスい悪党まで幅広くこなしていたが、いよいよ最後の血祭りにあげられる大悪人のポジションである。網走シリーズ愛好者なら、この配役に涙せずにはいられないハズだ。

 

 ところで。

 今回はこの「任侠映画総覧計画」に異色とも思える『監獄人別帳』を組み込んでしまったのだが、そもそも『網走番外地』って任侠映画なのだろうか。

 一般には任侠映画中の人気シリーズと目されることが多く、デァゴスティーニの東映任侠映画DVDコレクション』ラインナップにも網走シリーズは入っているのだが、果たしてこのくくり方は正しいのだろうか。高倉健・主演という看板の力に誤魔化されているうちはまだしも、リブートして渡瀬恒彦・主演作品となると、一気にその扱い方は難しくなってくる。

 そもそも任侠映画って、どう定義したらいいのだろう。

 重大な問題の壁にぶち当たったところで、次回はその定義についてつらつら駄文をつづってみようかと思う。

任侠映画総覧計画『博奕打ち外伝』

 ──という訳で(何のこっちゃ)。

『博奕打ち外伝』である。

 前回、待田京介がフェイク忠義者を演じた『日蔭者』を取り上げたときに、思い出したのがこの作品であった。

 

『博奕打ち外伝』(1972年7月/東映京都)
脚本:野上龍雄
監督:山下耕作
出演:鶴田浩二高倉健若山富三郎菅原文太松方弘樹辰巳柳太郎浜木綿子伊吹吾郎遠藤辰雄金子信雄、東竜子、野口貴史、松平純子、石井富子

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 明治後期の九州・若松。川船頭を束ねる江川周吉(鶴田浩二)は、土地の博徒寄合・睦会の一員である大室(若山富三郎)の一家と犬猿の仲であった。その大室が、睦会の大親分・浦田(辰巳柳太郎)直々の任命で、後任の二代目と決まった。

 睦会代貸の花井栄次(高倉健)こそ後任の最有力候補と目されていたにも関わらず、浦田親分は器量の落ちる大室に跡目を託したのだ。納得のいかない江川は、浦田親分に直談判しようとするが、浦田夫人(東竜子)からこの跡目決定の事情を明かされる。花井は大親分が他の女に産ませた実の子で、いかに出来がよかろうと渡世の筋目で跡を継がせる訳にはいかないのだという。

 表面的なことしか見ずゴネようとした己の浅はかさを恥じた江川は、兄弟分である花井と約束を交わし、大室とのいざこざは水に流すと決心するのだが……。

 

 鶴田浩二はいつもの辛抱立役で、我慢に我慢を重ねた挙句が兄弟分の健さんと、実の兄弟二人(菅原文太伊吹吾郎)そして親分・辰巳柳太郎まで失う。

 対立する相手は若富なのだが、立場上張り合ってはいても心底から憎いと思う関係ではないというのが、本作の対立関係の特徴だ。では何がこの二人を最後の闘いに向かわせたか。

 若富=大室親分の代貸・滝。松方弘樹演じるこの死神(疫病神?)のような男が全ての要因になっている。

 渡世の掟も仁義も知らない、拾ってくれた恩のある大室親分しかこの男の中にはない。大室を押しも押されもせぬ大親分にするためなら、いくらでも手を汚してやろうという、曲がった忠義の塊なのである。

 大映にレンタル移籍し、市川雷蔵の後釜として売り出されたものの今ひとつパッとしないまま大映も倒産。出戻ってもやはりパッとしない二枚目に留まっていた松方が、転機を迎えた作品こそ、この『博奕打ち外伝』だった。

 隻眼でびっこを引いた不具者、抑えたドスの効いた口調で喋る代貸・滝は、不穏そのものと言っていいムードを始終発して物語を転がす役目を担う。大室の二代目継承は確定となっているのに、それでもなお江川憎しと独断で動くパラノイア的悪役。はっきり言って、数ある任侠映画中でも異色の存在だ。

 

 外伝などと銘打たれているが、プログラムピクチャーに正伝も外伝もあったものではない、要するに『列伝』シリーズ同様のオールスター路線ということでつけたタイトルなのだろうが、名は体を表すと言おうか、本当にどこか“外れた”系統の作品になってしまったのは図らざる不思議な帰結。

 確かに鶴田、健さん、若富、そして文太と主役級スターをずらり揃えた豪華な布陣ではある。が、いかにも寂しい。そうだ、藤純子がいない。この年4月に封切られた『関東緋桜一家を以て引退してしまったのだ。

 それだけではなく漂ううら寂しさは何か。オールスターと呼ぶには、これまで任侠映画を彩ってきた悪役たちが全然出ていない。安部徹がいない。天津敏がいない。名和宏渡辺文雄も、河津清三郎水島道太郎もいない。善玉にも応用の効く嵐寛寿郎大木実待田京介たちもいない。そして、引退した名花・藤純子はともかくとして、女優陣も驚くほど少ない。わずかにヒロインとして馬賊上がりの芸者・浜木綿子が配されているのみで、ロマンス的要素はお飾り程度に添えられるのみだ。

 さらには主役級である高倉健菅原文太も、実に呆気なく死亡退場していく。

 要するにこれは、鶴田VS若富・松方の闘いに集約された映画なのだ。悪役でお馴染みの金子信雄遠藤辰雄もチョイ役の善人に廻し、焦点を絞った筋書きだ。ラストの殴り込みすら、お決まりパターンの大立ち廻りは影をひそめ、鶴田・若富の一騎打ちとなっている。勝負がついてから子分たちがワラワラと駆けつけるが、そこから大殺陣に発展することはない。

 

 形式を守っていないから駄作だって? そんなことはない。パターン破りにこそ面白いものがある。とうに熱狂から醒めてしまったこの時期の任侠映画にあって、一種突き放したかのような対決ドラマを描いた本作は、もしかすると脚本家・野上龍雄が示した“任侠映画への意思表示”だったかもしれない。

 同様に任侠映画の主翼を担っていた村尾昭と比較して、早くからテレビにも活躍の場を移していた野上龍雄は、どっぷり首まで浸かっていた村尾昭よりも、いくぶん引いた視線で任侠映画という色褪せかかったジャンルを見つめていたかもしれない。そして、出来上がった枠組みの中へ巧みに異分子的な要素を投入し、“内部からの破壊”を試みたのかもしれない。今や確かめようのない推論だが、何とはなしそんな気がしている。

 翌年には仁義なき戦いが封切られ、その後も任侠映画と呼べる作品はぽつぽつとながら製作が続いていくが、それはすでに『仁義〜』の登場によって木っ端微塵に打ち砕かれてしまったものの余韻でしかない作品群だった。

 破壊が完全になされる以前の、破壊工作の痕跡。そこに『博奕打ち外伝』を観る面白さはある。

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任侠映画総覧計画『日蔭者』

 鶴田浩二のヒット歌謡曲を材に得た任侠映画、といえばまず『傷だらけの人生』二作が浮かぶが、この『日蔭者』もご同様。まさに任侠映画の性格をずばり表したようなタイトルだ。

 ピークを過ぎ斜陽期になってきている72年という製作年も、“日蔭”の感を一層高めているかのよう。鶴田浩二が代表格であるようなモラリスト的やくざ者像はどんどん色褪せて、もっと生々しく過激なものが主流となっていく時期である。現に70〜72年ごろの東映では、鶴田浩二もそうした潮流に呑まれていたが、やはりマッチしたとは言い難く、新しい波には菅原文太渡瀬恒彦といった面子が乗っていった。

 時代に逆行するかの如く、筋道を守った昔気質が新興の勢力に立ち向かう。任侠映画の基本的な図式だが、そんな任侠映画という路線そのものが自らの内容を体現しているかに見える末期症状と言えなくもない。この時期の任侠映画、また看板を負って立つ存在である鶴田浩二その人にも、一抹の翳りじみたものが感じられて、何となく物悲しい気分を誘う。

 けれどこの『日蔭者』、アチシとしちゃ好きな作品である。

 

『日蔭者』(1972年11月/東映京都)
原案:藤原審爾/脚本:棚田吾郎
監督:山下耕作
出演:鶴田浩二松尾嘉代加賀まりこ、葉山良二、待田京介、天津敏、汐路章、林彰太郎、東竜子、梅津栄高宮敬二、山本麟一、内田朝雄、池部良

 主人公の小鉄こと小池鉄太郎(鶴田浩二)は、昔気質の松尾組で総長(内田朝雄)からの信望も厚い存在。大戦に召集され、傷痍軍人として戻ってみると、親方日の丸で憲兵連中を後ろ盾にのしてきた栗原組(親分は天津敏)が幅を効かせており、松尾組の中にも栗原組へすり寄ろうとする幹部がいるなど、難しい局面を迎えていた。

 総長は寄る年波で、若衆頭の伊三郎(葉山良二)がその娘婿になっている。総長の娘・雪江(加賀まりこ)はかつて小鉄に惚れていたが、縁談は小鉄の方から断っていた。というのも小鉄には他に惚れた女・小りん(松尾嘉代)がいたため──。と、これまた別の意味で難しい事情があとで活きてくる。

 小鉄を大いに買っている総長が、対栗原/軍人の対応をかれに一任したことで、内外ともに敵が増えていく。正式に跡目と決まっている訳でもない一幹部、それも出戻って間もない半分よそ者に近い男が……と面白く思わない者が、当然いる。

 内部の敵は、伊三郎の片腕である武司。演ずるは、待田京介だ。善玉をやってもハマるが徹底したワルも様になる。栗原組と手を結ぶ思惑が外れて荒れる幹部・矢野=山本麟一を事故に見せかけ殺したり、伊三郎を跡目にと雪江を焚きつけ親殺しをそそのかすなど、小鉄の台頭を阻止すべくコソコソ動く薄気味悪い男で、これが一貫して伊三郎への忠義というのだったら、本作の印象はもっと変わっていたろうが、けっきょく武司は己の欲心が主であった。雪江を押し倒すあたりからチンケな本性が露わになってきて、悪事がバレるや伊三郎を刺し栗原の懐へ逃げ込むに至って、ただの小悪党でしかなくなる。本作の残念なところは、ひとえに武司のキャラクターだったかもしれない。

 

 意地を通して、軍が狙う土地を守ろうとする小鉄。その意地が最終的には単身の殴り込みへと結実していくのは、お定まりの展開。

 鶴田浩二は、これでもかという正統派任侠映画の主人公を演じている。横暴な権力に擦り寄る“ただの暴力団”になることを拒み、組織内での栄達を望む訳でもない、ひたすら“日蔭”をすすんで歩く。所詮やくざ者でしかないという自覚からの、マゾヒスティックなまでの裏目張り(68年『解散式』で使われていた形容ですナ)は、ややもするとイヤミったらしくなるところだがそう見せないのが絶妙。賭場でのいざこざを収め、伊三郎の責を不問に付すべく総長に指を差し出すシーンなど、そのさりげなさが抜群に格好良い。長谷川伸の世界に近いような、日蔭を行く人間のヒロイズムを見事に体現している。

 

 画面から漂う情感で定評のある山下耕作監督は、本作でもその手腕を発揮して小鉄と小りんのさりげない会話もしっとりとした良いシーンに仕上げている。一時の邪念に負け、とんでもない顛末を呼んでしまった雪江の悲劇も、プクプクした愛らしい赤ちゃんの画を挟み込んで効果的に際立たせている。

 どうしても似たり寄ったりの内容になりがちな任侠映画というもの、配役の好みやディティールなどによって観る者それぞれの好き嫌いは決まっていく。その点でいくと、アチシが本作を好きな作品と言い切る最大の理由は、何と言っても内田朝雄の配役だろう。

 珍しく徹頭徹尾善い親分である。ポジションとしては、嵐寛寿郎がよく演っていた寝たきり親分に近いが、生臭い欲望亡者の役が多い内田朝雄が演じていることによって感動がいや増す効果がある。小鉄の腹中を敏感に察した上で、自身にはね返ってくる火の粉も恐れず責を負う覚悟がある親分。その恩は、さらに小鉄をして裏目裏目へと張らせる原動力になってしまう。内田朝雄の善人役のなかでも、ベストに近いオイシイ役だったかもしれない。

 

 最後に、池部良について。

 小鉄の立場に寄り添うが如く、静観している幹部のひとり・高石。肺病病みで、時おり咳が止まらなくなる高石がこの映画の中で担う役割は、もう登場した瞬間から観る側には判っているようなものである。

 カビ臭い任侠道にしがみついた小鉄が、決死の覚悟で向かう殴り込みには当然、ヒットソング「日蔭者」が被る。ここで風間重吉よろしく高石がユラリ……と現れたなら、もはやギャグにしかならない。

 肺病やくざの高石は、斬り合いが始まってからしばし、裏手から逃げようとする武司に通せんぼをするかの如く現れる。「やっぱり!」な見せ場ではあるが、かれはわずかに下っ端を斬っただけで発作に襲われ、武司を仕留めることも叶わず返り討ちにされてしまう。

 バリエーションの変化としてこうなったに過ぎないことではあろうが、何とはなしここにも任侠映画の斜陽を見るようで、物悲しい思いが去来するのであった。

沈黙の映画評『沈黙のステルス』淡々とした劣化版ライバックを見よ

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 それにしても、酷い邦題である。

 リリース当時は「セガールに空戦なんざやらせてどうする!」と思ったものだ。それでもつい借りて観た。で、結果、全く印象に残らなかった。2001年の『TICKER』以降、すっかりアクションに力を入れなくなった(そのくせバンバンと新作を撮り続けていた)セガールおじさん、しかも邦題はどれがどれやらサッパリ判らない『沈黙の〜』ばかり。そんな中の一本として、記憶から消え去っていた。

 この「沈黙の映画評」の一環として再見してみたら、中々どうしてそれなりにまとまった映画だった。他のあまりにも酷すぎるセガール作品に比べれば、の話だが!

 しかーし。

 驚くほど盛り上がらないのだ!

 

 セガールおじさんの役は、空軍の凄腕パイロット・ジョン。何やら国家機密を“知りすぎた男”として囚われ、記憶消去の処置を施されそうになっていたがサラッと脱出。盛り上がらぬ映画はツカミからさっぱり盛り上がらぬまま進行していく。

 電磁パルスが機体を包み込み「完全に姿を消す」機能を持った新型ステルス戦闘機・X-77が試験飛行中、消息を絶つ。パイロットのラッチャー(スティーヴ・トゥセイント)がアフガニスタンのテロリストに買収されていたのだ。

 責任者の空軍大将・バーンズ(アンガス・マッキネス)は、町のマーケットで強盗を撃退し警察に拘留されていたジョンにX-77奪還の任務を命じる。

 前半部第二のツカミは、このジョンが強盗をやっつけるアクションシーン。後で警察に「正当防衛」を主張するが、どう見てもわざわざ店外から介入して(ガラスぶち破ってまで)叩きのめしに行っている。チンピラ程度の強盗はきっちり抹殺され、殺されなくても済んだであろう店員まで巻き添えで死ぬ展開は、過剰防衛と言おうか過剰正義とでも名づけるべきか、とにかく暴力が振るえる名目があれば徹底的に振るうといういつものセガール節を踏襲している。

 自身を裏切った格好の軍に再び使われることになるジョンだが、さしたる葛藤もなくサラッとこれを呑み、アフガンへ飛ぶ。相棒として同行し早々敵方の捕虜になるジャニック(マーク・ベイズリー)は台詞上じゃヤな奴みたいに言われているが、このあたりも書き込まれることなくサラッと進行。

 現地にいる協力者・ジェシカ(シエラ・ペイトン)&ロジャー(アルキ・デイヴィッド)と共に淡々と敵を射殺・爆殺。申し訳程度に沈黙の要塞ふう棒術アクションも入るが、これも淡々とこなすのみのセガールおじさん。

 クライマックスは化学兵器が搭載されたX-77を見事に奪回、操縦するジョンとF-16で追ってくるラッチャーとの空戦である。一発でも弾を喰らえば地球壊滅、手に汗握る一触即発の死闘……のはずなのだが、実物戦闘機映像と安っぽいCGの羅列で構成されたスカイアクションもさっぱり盛り上がらないままサラッと決着。

 

 タイムリミットつき、不可能ミッションをギリギリ遂行という王道パターン。これで協力者がプロ戦闘員でない現地の素人とかだったら"Under Siege"シリーズ(沈黙の戦艦』『暴走特急)と同系統なのだが、全編さっぱり起伏なく淡々と流れていくのみである。細川俊之みたいな顔したテロリストの親玉(ヴィンセンツォ・ニコリ)は呆気なくラッチャーに射殺されるし、ミッション成功を告げられた空軍本部の反応もえらくクール(ここは暴走特急クラスの喝采があっていいと思うのだが……)。

 主役のセガールおじさんが『あばれ』シリーズの西郷輝彦並みに淡々としているのはともかくとして、演出はもうちょっとメリハリをつけていいと思うゾ?

 なまじストーリーが小ざっぱりとまとまっているおかげで劣化版ライバックみたいな結果になってしまった本作、観終わったあとに何も残らない。あな恐ろしや、セガールおじさんが冒頭で逃れた記憶消去の処置は、鑑賞者の側に施されてしまったのである!

 

 かろうじて緊張感を持たせていたと思えるシーンは、潜伏したジョンを探しにきた敵方ナンバー2のレズ戦士(カティ・ジョーンズ)にジェシカが色仕掛けで迫るあたり。セガール映画恒例のおっぱいシーンなのであった。

 

沈黙のステルス(2007年2月・米 ビデオスルー作品)
原題"FLIGHT OF FURY" =直訳:怒りの飛行
勝手に邦題沈黙の奪還

エグゼクティブ・プロデューサー:フィリップ・B・ゴールドファイン、ブルーノ・ホーフラー
コ・エグゼクティブ・プロデューサー:ウイリアム・B・スティークリー、ビン・ダン
プロデューサー:スティーヴン・セガール、ピエール・スペングラー
コ・プロデューサー:ヴラド・パウネスク
アソシエイト・プロデューサー:リチャード・ターナー、マイケル・ラヴィッド・ガノット、ジョー・ハルピン
原案:ジョー・ハルピン
脚本:スティーヴン・セガールジョー・ハルピン
監督:ミヒャエル・ケウシュ

出演:スティーヴン・セガール(ジョン)、スティーヴ・トゥセイント(ラッチャー)、アンガス・マッキネス(バーンズ大将)、マーク・ベイズリー(酒が飲める年齢のリック・ジャニック)、シエラ・ペイトン(ジェシカ)、アルキ・デイヴィッド(ロジャー)、ティム・ウッドワード(ベイツじゃないペンデルトン提督)、ヴィンセンツォ・ニコリ(面構えだけは強そうな悪役ボス・ストーン)、カティ・ジョーンズ(おっぱい要員エリアーナ)、ディヤン・フリストフ(セガールおじさんのスタントダブル)、ゲオルゲ・ザルコフ(セガールおじさんのフォトダブル)

時代劇ライフ2017年9月

 無謀にも当ブログで任侠映画・セガール映画の特別コーナーを設けて不定期連載みたいな真似を始めてしまったが、あくまでアチシの行く本筋の道は時代劇である。他の脇道に力を入れすぎて本道がおろそかにならぬよう気をつけねば……。

 

 ずいぶんと録画の溜まるテレビ時代劇、最近では、まえに録画ミスで穴を開けてしまった部分の穴埋めが増えてきている。CBCテレビ水戸黄門第37シリーズ→38シリーズ、BS-TBS水戸黄門第13シリーズ、江戸を斬る第8シリーズBSジャパン『あばれ八州御用旅』時代劇専門チャンネル『吉宗評判記 暴れん坊将軍など。録画失敗回を補完すべく、手元のリストと画面上の番組表を見比べ目を皿のようにしている。

 過去作品ばかり大事にして貴重な新作『名奉行!遠山の金四郎』(東映/TBS)は見事に録画を失敗。前半がすっ飛び後半1時間ほどが保存されている無残な有様……。

 新規の収穫は、ホームドラマチャンネル『必殺からくり人血風編』(観たかったんだコレ)、時代劇専門チャンネル人形佐七捕物帳TBSチャンネル2『天下御免の頑固おやじ 大久保彦左衛門』あたり。

 そして今から胸踊らせている今月(10月)のお楽しみは、時専・林与一版にかぶせてきた訳ではなかろうが東映チャンネル松方弘樹人形佐七捕物帳。そしてBSジャパンで始まる『女殺し屋花笠お竜』だ。

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 後者はベストフィールドからDVD-BOXが出ているのでアリガタ味はやや薄れるが……しかし元手不要で手中に納まるのならこれ程いいことはない。東京12チャンネルのお宝番組としては、われらが(?)三船プロ制作の『おんな組アクション控』なァんて観たい逸品なのだが、どこぞでやってくれんものかのう。

 そう三船プロといえば、どうした風の吹き廻しかBSトゥエルビにて10/3(火)より大忠臣蔵が始まる。伊藤雄之助サマ主演……いや違ったミフネ御大主演の民放版大河ドラマ! しかしBSトゥエルビかァ……。スタンダード画面の両端にでかでかと番組名やら局名かぶせてくるBSトゥエルビかァ……。同系列のBS11と並んで、おっぱいにまでボカしかける悪名高いBSトゥエルビかァ……。

 録画したところで保存版にするかどうかは考えモノかもしれない。

www.twellv.co.jp

 忘れちゃいけない9月のマイベスト収穫はこれだったかもしれない。

 里見浩太朗主演の単発時代劇新選組 池田屋の血闘』(意外やGカンパニー制作)と抱き合わせのような格好で、TBSチャンネル2で放送された新撰組始末記』2編! KRテレビ時代の、中村竹弥主演の30分番組、貴重な現存回である。

 映像史的にもこれぞお宝と言える、黎明期テレビ作品をCS放送で観ることができる、いい時代になったもんだとしみじみ思う。現実の世相がキナ臭すぎるのに目を背けてる訳じゃござんせんヨ。

任侠映画総覧計画・現代やくざ 与太者仁義

 東映任侠映画を全作品残らず手元に揃える、なんて可能なのだろうか。

 あのお蔵入り作品博徒七人』まで東映チャンネルで放映され、DVDに保存することができてしまった今、あながち不可能とは言いきれないんじゃないか、なんて気がしてきている。若山富三郎『日本悪人伝』やら『悪親分対代貸なんてレアものまで手に入れてしまったし、このまま東映チャンネルに入っていればそのうち実現してしまうんではないか。

 東映も何をトチ狂ったのか、ついにあの江戸川乱歩全集 奇形人間』を国内盤で出してしまったくらいである。『博徒七人』だって正規にDVDリリースしてしまう可能性がある。

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 余談はさて置き……。題して「任侠映画総覧計画」、ひょっとしたらコンプリートすることそのものは実現できてしまうかもしれないが、問題はそれを全て観ることができるかどうか。時間的な面だ。無謀だが挑戦してみるか?

 今回はこちら。

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『現代やくざ 与太者仁義』(1969年/東映東京)
脚本:村尾昭長田紀生
監督:降旗康男
出演:菅原文太田村正和水谷良重佐々木愛渡辺文雄高宮敬二八名信夫、佐藤晟也、沢彰謙、内田朝雄、河津清三郎池部良

 菅原文太はファッションモデルから新東宝、松竹と渡り歩いたが芽が出ず、俊藤浩滋プロデューサーの引きで東映入り。当初は『俺は用心棒』などテレビの脇役やワカトミ映画『極道』シリーズの子分役などでパッとしなかったのだが、1969年『現代やくざ 与太者の掟』で売り出され、やくざ映画の主軸となるスターになった。

 その続編がこの『与太者仁義』で、前作同様に一匹狼の野良犬やくざを演じている。役名も同じ勝又五郎なのだが、そこはプログラムピクチャーのシリーズもの。前後の作品にストーリー的な繋がりを見出すのは無意味である。

 渡世の掟を重んじ、義理に生き義理に死ぬ侠客を描くのが任侠映画のメインストリートならば、このシリーズはその裏道を行くもので、個人としての無頼漢が大組織とぶつかり争う形になっている。前作『与太者の掟』はその中でも組織内の待田京介と絆が出来て一種兄弟仁義ふうの色合いがあったが、その点でいくぶん従来の任侠映画に似通った面も出てしまったきらいがある。

 続く本作『与太者仁義』では、実の兄弟との相克が持ち出された。

 

 スラム育ちの三兄弟、浩一(池部良)は大組織(組長は渡辺文雄)の幹部で、末っ子の徹(東映の、しかもこのジャンルには珍しい田村正和!)はその配下にいる。しかし徹は恋人(佐々木愛)との愛を実らせるべく、組織を抜けると宣言して逃走。

 流れ歩いていた次男の五郎(菅原文太)はドライな一匹狼だが、ゴリゴリの構成員になってしまっている兄への反発もあって徹をかくまう。この隠れ先となるのが五郎の元仲間・黒田宅だが、これまた珍しい配役で黒田を中丸忠雄が演じている。

 逃走前の脅迫仕事でちゃっかり大企業社長・田坂(河津清三郎)の弱みを握っていた徹は、これを高飛びの資金作りに利用しようと画策、五郎・黒田もこれに乗るのだが……。

 

 三兄弟の構図はさながら狼と豚と人間(1964年/東映東京 脚本=佐藤純彌深作欣二/監督=深作欣二)のよう。長男(豚)=三国連太郎池部良次男(狼)=高倉健菅原文太、三男(人間)=北大路欣也田村正和と置き換えてみることができる。

 健サンよりよっぽどギラギラしていて狼らしい文太、組織のしがらみにガチガチの兄貴とは百八十度違ったはぐれ者はまさに打ってつけの配役で、この男を動かすものは……と思ったときに、実の兄弟同士という人間関係は実にピンと来る筋立てである。

 その帰結はお定まり通り破滅なのだが、本家『狼と豚と人間』ほどまでにどうしようもなく救えない破滅ではない。最後の最後では長男・池部良もやっぱり血の通った兄弟だったのだ、という救いが見える。やくざモノを通して「酔える」作品を志向し続けた村尾昭のテーゼが通底していると言ってもいいだろう。

 アイコンとしての狼・豚・人間に当てはめて見ることができるとは言え、結局のところは全員が「人間」。その人間たちが血みどろになって蠢く破滅の物語は、観る人間の心にもズシンと響く。

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沈黙の映画評・サイコ野郎はセガールおじさんの方だ『雷神 RAIJIN』

 さて順不同でセガールおじさんのろくでもない映画群を紹介していこうという沈黙の映画評、行き当たりばったり手に取ったものを観ては載せていくとしよう。まず一発目は『雷神 RAIJIN』(2008)である。

 いきなり結論から言ってしまうが、いただけない作品。

 

 セガールおじさんの役どころは、メンフィス市警のジェイコブ・キング刑事。もと特殊部隊とかいった前歴はないが、少年期に双子の弟を殺されたトラウマを持つ。それゆえ異常なまでに犯罪者を憎む性質となっており、過剰なまでに悪党を叩きのめす。ザコ相手でも容赦なく、である。

 って、やっぱいつも通りのセガールおじさんじゃないか。

 目指す敵はシリアルキラーの“グリフター”(マイケル・フィリポウィッチ)及び模倣犯のビリー・ジョー(マーク・コリー)。捜査過程で手がかりとなるチンピラをこてんぱんにやっつけていくジェイコブ刑事。新たな被害者が出ようと、同棲相手の女巡査(カリン・ミシェル・バルツァー)が殺されようと、お構いなし。ただ悪党相手に暴力が振るえればそれでいいのがセガール流。

 ただしあまりにも過剰な暴力の連発に、むしろこのジェイコブ刑事こそ一種のサイコパスなのではないかという逆説的な真実が浮き彫りになっていくのが、セガールおじさん自ら執筆した?脚本の狙い……ではないんだろうけど、ホントそうとしか見えないんだナ。

 

 ちなみにセガール×サイコサスペンスってのはグリマーマン(1996)において既にやった組み合わせで、どう頑張ってもサスペンスタッチにはなりようがなくセガールオンステージの暴力ショーになることは実証済みである。

 しかし本作が圧倒的に「いただけない作品」な理由は、その暴力ショーのお粗末さだ。うるさいまでのカット割りの細かさ、あからさまな吹き替えアクション。時たま申し訳程度に関節技や投げ技が挿入されるものの、基本はブン殴って蹴飛ばす単純な動作の連続で、それもセガール本人の顔を合間に挟んでスタントマンがやるばかり。挙句にスタントマン氏の顔まで映り込んじゃったりしてるんだから、もうどうしようもない。

 

 グリフターが獲物にマーキングして残す占星術のメッセージをジェイコブ刑事が解くやら、FBIから意味もなく女捜査官(ホリー・エリッサ・ディグナード)が派遣されてくるやらの本筋(?)こそが余分なモノでしかなく、ただひたすら暴力刑事が暴れまくる映画なだけに、アクション面がそんな中途半端な代物ではモヤモヤ感が募るばかり。

 おまけに、これは吹き替え不要で太ったセガールおじさん本人が演じられるガンアクションも、異様に命中率が低くモヤモヤする。

 そして全編通じて高まったモヤモヤ感を吹き飛ばすどころか最高潮にまで持っていって終わらせる大蛇足のラストシーン。ぬけぬけと本宅に帰って若い美人妻とイチャイチャするジェイコブ刑事……。セガールおじさんのスケベオヤジぶりが全開になるこのラスト数分は一体何なのであろうか。あ、これこそが主目的だったとか?

 

 残念ながら評価したくともできないのがこの『雷神 RAIJIN』。同じジェフ・E・キング監督による『沈黙の鎮魂歌』(2009)は近作の中ではトップレベルの良作だったのだが、この差は一体どうしたことか。

 頑張って見どころを一つ見つけ出そうとするなら──導入部、模倣犯ビリー・ジョーが生きた女性に仕掛けた時限爆弾を解除するシーンか。

 まさしくこれはセガールおじさんならではの手法で、余人には真似できないウルトラC。それは、

「即座に犯人の居所を突き止め、徹底的に痛めつけて吐かせる」

 という手段。ここが本作最大の山場かつ笑いどころだろう。

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『雷神 RAIJIN』(2008年/加・米)

 原題"KILL SWITCH"=直訳:殺しのスイッチ
 勝手に邦題…『セガールin非情のライセンス

エグゼクティブ・プロデューサー…スティーヴン・セガール、アヴィ・ラーナー、フィリップ・B・ゴールドファイン
プロデューサー…キム・アーノット、リンゼイ・マカダム、カーク・ショウ
脚本…スティーヴン・セガール
監督…ジェフ・E・キング

出演…スティーヴン・セガール(ジェイコブ・キング)、アイザック・ヘイズ(コロナー検視官)、ホリー・エリッサ・ディグナード(癒しキャラのへっぽこ捜査官フランキー・ミラー)、マイケル・フィリポウィッチ(グリフター=ラザラス)、クリス・トーマス・キング(同僚刑事ストーム)、マーク・コリー(一番いい味を出しつつ一番痛めつけられるゲスな悪党ビリー・ジョー)、カリン・ミシェル・バルツァー(セリーヌ巡査)、ウォルコット・E・モーガン(バーで痛めつけられるチンピラ黒人レオン)、ダニエラ・エヴァンジェリスタ(とばっちりを喰う気の毒なバーのねえちゃん)、アンドレア・ステファンキコワ(えせストリップしてジェイコブとイチャつくロシア人妻)、ディヤン・フリストフ・ゲオギエフ(セガールおじさんのスタント)、ニコラス・ハリソン(セガールおじさんのスタントその2)