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「チャンバラ狂時代」のブログ。時代劇のこと、その他映画・テレビドラマやら俳優のことなど。
徒然なるままに、時々思いだしたように更新しています。

テレビで右太衛門御大の旗本退屈男!

 今月から、東映チャンネルにてテレビ版旗本退屈男(1973-74)が放送されている。北大路欣也のじゃなくって市川右太衛門ヴァージョンである。高橋英樹・主演『編笠十兵衛』が終わって次は十手無用 九丁堀事件帳』でもやってくれんかなァと思っていたら、まさかの早乙女主水之介。いずれにせよ観たかった作品なので、東映チャンネル様様には感謝しきりである。

 御年66歳の右太衛門御大がテレビで退屈男を……って、当時の視聴者はどう受け止めたんであろうか。アウトロー時代劇全盛とも言える時期に、随分とアナクロな企画だったのではないか。当時どんな作品があったのかは、我がホームページに

〈1973年放送の時代劇 〉

 ↑という放送リストのページがあるので参照されたい。

 しかも驚くまいことか、東映制作ではあるものの京都でなく東京撮り。スタッフも『特別機動捜査隊』で見るような面々で固められている。監督こそ佐々木康ら馴染みある布陣で、殺陣師も足立伶二郎が呼ばれているが、右太衛門御大、ホームグラウンドの京都撮影所と違ってやりにくかったのではあるまいか。

 高橋英樹が主水之介を演じた70年版は東宝作品、80年代に平幹二朗がやった時代劇スペシャル版も制作は映像京都だったので、東映京都に旗本退屈男が帰ってくるのは1988年より単発シリーズ化された北大路欣也版からということになる。

 

 白粉お化けみたいなメイクをした右太衛門御大が、相変わらずの調子で「天下御免の向こう傷……」と大仰な台詞廻しを披露するこの73年版退屈男、往年の映画を楽しんでいたファンたちからしても時代錯誤に写ったのではないか……ってな気がするが、何と言おうか、これはもはや「芸」なのだろう。演技とかいう言葉ではくくれない領域のもので、御大にしか表現し得ない十八番なんだなァと再認識させられる。周りは通常のドラマ演技をしているから、御大が浮きまくりなのは致し方ない。唯一「芸」に近い味わいを出す品川隆二が付いていけている程度だろうか。

 このスケールから比較すると、やはり「演技」で主水之介を作っているジュニア北大路版などは、霞んで見えてしまうのである。

 小ぢんまりしたテレビ画面で流すには異質としか言いようのない右太衛門退屈男。こんなテレビ作品もあったのだなァと思い知らされる貴重な視聴体験である。

 

 この番組を観るにあたって是非とも注目してもらいたい部分は、牧野由多可担当によるテーマ曲。

 筝(そう)を使っているのだろうか、楽器に詳しくないアチシは曖昧なことしか言えないのだが、ビブラートの効かせっぷりが実に小気味よく、陶酔してしまう絶品メロディー。『お耳役秘帳』『日本名作怪談劇場』でも冴え渡っていた和楽器名手の刻む旋律を楽しむべし!