テレビ時代劇お蔵入りあれこれ
『暴れん坊将軍』が時代劇専門チャンネルでシリーズ通して放送されている。
全話コンプリートを目指すはずが、のっけから第1シリーズ『吉宗評判記』の段階で録画逃しを連発。わがDVD庫には穴空きだらけの「暴将ファイル」が出来てしまっている。『IV』あたりからは順調なのだが、『VII』まできて困ったことになった。
お蔵入りの回があるのだ。
#2「江戸怪奇 吉宗魔界を斬る!」がそれで、どうも子供が死罪になるシーンが引っかかっているのか……? オカルト色が強い異色の話であるらしい。おかげでデータが採取できなくて当方としちゃ非常に悔しい思いをしている。せめて脚本、監督が誰なのかくらいは知りたい(そんなホンを書くのは、もしかして我らが和久田正明氏ではないか……)。
連続ドラマには往々にして欠番回があり、特に今ほど規制がやかましくなかった70年代、80年代の諸作品が現在のコードには引っかかって……というケースが多い。が、それとて地上波では流せなくともDVDには収録され、BS、CSではきちんと放映されるという場合もある。
例えば有名なところでは『必殺仕掛人』#28「地獄へ送れ狂った血」であるとか。個別の回でなく作品そのものが地上波ではまず流されなくなってしまった『座頭市』シリーズなどもそれにあたるだろう。
(余談だが時代劇専門チャンネルでは今月(2017/01)より若山富三郎・主演の怪作『唖侍鬼一法眼』が放送! 東映チャンネルも来月(2017/02)は伝説のお蔵入り任侠映画『博徒七人』をやってくれる!)
また薬物など刑事事件で逮捕された俳優が出演している場合も、地上波ではまず流されない。
例えば『G MEN'82』清水健太郎とか『江戸中町奉行所』清水健太郎とか『あばれ八州御用旅(4)』第12話「国定忠治 涙の八木節」清水健太郎とか『名奉行遠山の金さん(5)』第31話「帰ってきた暴れん坊」清水健太郎とか!
だが、これもDVDやBS、CSで何とかなる。シミケンだろうと羽賀研二だろうと関係なしである。
ところがCS等でも必ず欠番扱いで、総話数からさえ削られて、もはや陽の目を見ることがないのではないかという幻の作品もまた結構な数で存在しているのである。
ざっと列記してると──
以上はおそらくマニアの間では『ウルトラセブン』や『怪奇大作戦』の封印回並みに知られているだろうが、『暴れん坊将軍VII』#2も上記のような封印作品群に含まれるってことなのかなァ。・『水戸黄門』東野英治郎期における、西村晃ゲスト出演回。これは二代目黄門様のイメージを損なわないための処置だというが、最初に「Project-T」なる販売元から出た第3部のDVD-BOXには西村晃が医師の役で出演した#4「人狩り ─三島─」は収録されている。ところがその後エイベックスから出されたBOXではこれも欠番扱いになってしまっていた。むろん地上波やTBSチャンネルにおける再放送でもこれらは飛ばされるのが当然になっており、Project-T版の第3部BOXを所持している人は誠にラッキーと言わねばならないだろう。
・同じく『水戸黄門』の第4部、有名な封印回は#16-17「北海の反乱 ─松前─」(前後編)。放送当時、アイヌに関する表現にクレームがあったことにより放送自粛となっている。あくまでも“自粛”なのだろうから、これとて断り書きを出した上で流せないことはなかろうと思うのだが……。
・またこれも有名な『子連れ狼』萬屋錦之介版第1シリーズ#2「乞胸お雪」。差別問題の関係で……なのだろうか。同じ原作を扱ったワカトミ主演映画版『子連れ狼 親の心子の心』はVHSもDVDも出回っているが、ヨロキン版では完全に「なかったこと」にされてしまっている。
・杉良太郎主演、1982年版『右門捕物帖』#17「少林寺から来た凄い奴」も、時代劇放送チャンネルにおける放送やエムスリイエンタテインメントから発売のDVD-BOXで欠番扱いに。
・これも杉良時代劇で『同心 暁蘭之介』#44「通り魔」も過去に再放送された例なし。ここらへんはもう放送局よりも杉良サイドでブロックしてしまっているのかも?
ところで、こうした封印作品とは理由を異にしているものの、負けず劣らず厄介なお蔵入り事情も存在する。
世間ではSMAP解散が騒がれているが、そんなことは興味も関心もないし心底どうでもいいとしか思えないアチシのような人間にとって、もっともっと重大な問題は、ジャニーズ事務所の面々が出演した作品は、BSやCSでまず再放送されない点だ。
これはジャニーズメンバーをお目当てとしない向きにとっては迷惑至極な話だ。おかげで『三匹が斬る!』シリーズも役所広司が抜けた後、近藤真彦がレギュラー入りした期はお蔵入り同然の状態になっているし、松方弘樹が大石内蔵助を演じた単発もの忠臣蔵は『大忠臣蔵』(1994年・TBS)『赤穂浪士』(1999年・テレビ東京)の2作品とも観ることができない。
しかし、今度の時代劇専門チャンネル“歴代金さん完全放送”では松方弘樹版『名奉行遠山の金さん』が、東山紀之出演作ながらCS放送される訳だし、現に香取慎吾の出演している『腕におぼえあり3』も繰り返し放送されている。
やってできないものではない、ということなのだ。
細かい事情はよく分からないが(莫大な金を積めば許可が降りるってことか?)、何にせよ、いつの年末シーズンであっても変わらずどこのラインナップにも松方版忠臣蔵が上がらないのは悲しすぎる。西村晃や田村高廣の吉良サマが見たくてたまらない身としては、いい加減解禁の日が来てもいいんではないかなァ、と思っている。